北海道大学からパートナー就任25 Litterae Populi Vol.71のお話をいただいたとき、母校との繋がりを持てたことが嬉しく、札幌にもまた行きたいという思いが強くなりました。私の研究室には北大のパンフレットを置いていて、訪問者に北大の魅力を紹介しています。ドイツでは「Hokkaido」や「Sapporo」の名前を知っている人が多く、一般的に売られている食用カボチャには、なんと「Hokkaido」という名前がついた品種があります。また、ドイツ語圏の日本学術振興会(JSPS)研究者同窓会の中にも、北海道に行ったことがある人や知人がいるという人が多いですし、北大の卒業生やサマープログラムの参加者に会うと、みんな昔からの知り合いのように感じられます。現在の北大では、国際食資源学院などをはじめ、積極的に国際的な人材の育成や研究活動をしていて嬉しく思います。私自身も、北大の土壌学研究室と科研費の共同研究プロジェクトを進めていて、博士課程在籍中に調査した場所を再び訪問する予定で、今からとても楽しみにしています。現在の北大生とも交流して、将来的には留学生として受け入れたいと考えています。また、以前には、ドイツの農業機械業界の方から、日本のスマート農業を視察に行きたいという相談を受けて、北海道を推薦し、視察団の北大への訪問が実現しました。パンデミックを経て、オンラインミーティングやチャットでのやり取りが普通となり、自宅などでも効率良く柔軟に仕事ができるようになっています。それでも、偶然会った人との雑談から研究活動の話に発展することもあり、直接会うことも大切だと感じています。今後はオンラインとリアルの両方をうまく組み合わせて使っていくべきだと思います。私が今住んでいるのはベルリン中心部から電車で東に30分ほどのブランデンブルグ州です。北国ですが札幌のように雪は多くはありません。近くのフュルステンバルデという都市には、サッポロビールのルーツとされているベルリンビール醸造会社の工場があり、工場には、札幌の街並み、時計台、大通のスライドショーがあってとても驚きました。休日にはハイキングや散歩を楽しむ人が多く、キノコ狩1.ベルリン・フンボルト大学の畑で2.2023年JSPS同窓会賞受賞時3. 生態系サービスを最大限にする適地適作のモデル圃場4. キノコ狩りの収穫りの季節には林道の入り口に車が並びます(地元民は秘密の場所を知っています、私もです!)。また、サイクリング・ツーリズムも盛んで、バイオエコノミーとサイクリング・ツーリズムを繋げるプロジェクトが、褐色炭採掘跡地が広がるラウジッツ地方を中心に行われています。研究でも、ステークホルダーを巻き込んだCo-Development型が推奨されていて、Living-Labという名称で、研究と開発、イノベーションを同時に行う方向にスタイルが変わりつつあります。現場のニーズに合わせ、研究成果をすぐに提供し、気候変動への対応を「今」行う必要があるからです。現在は「適地適作を1つの圃場内でどのように行えるか」という研究が進められており、スマート農業を使って、炭素蓄積や地下水保全といった食料生産以外の土壌の機能を使う生態系サービスの向上を目指しています。私は、北大で9年間素敵な時間を送ることができました。北大の皆さん、北大は世界に誇れる大学です。「都ぞ弥生」の繋がりを大切にしてください。1234 ベリングラート木村 園子ドロテア(Sonoko Dorothea Bellingrath-Kimura) 氏ライプニッツ農業景観研究センター(ZALF)教授、ベルリン・フンボルト大学教授 (Professor, Humboldt University of Berlin / Leibniz Centre for Agricultural Landscape Research (ZALF))2017年4月北海道大学パートナー就任アンバサダー・パートナー通信
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