ne Health IVReDのもう一つの特徴は「オール北大」による研究開発体 制である。同一キャンパス内の北海道大学病院をはじめ、人獣共通感染症国際共同研究所、医学研究院、薬学研究院、獣医学研究院、遺伝子病制御研究所など多様な部局との協力体制を確立。前述のインフルエンザ・コロナウイルス感染症・結核に関しては、長年専門的に研究を続けてきたトップレベルの研究者が集結している。シュトプロフェッサー)は、AM「ワクチンが社会実装される段階になれば、市民への情報発信や経済効果についての予測・検証が必要になると考えられ、本学の人文社会科学分野の教員や研究者も参画することになるでしょう。オール北大の実力がさらに発揮されるはずです」と澤教授。研究支援部門の部門長である人獣共通感染症国際共同研究所の鈴木定彦教授(ディスティングイッEDに設置された先進的研究開発戦略センター(SCARDA)のマネジメントの下、フラッグシップ拠点である東京大学や他のシナジー拠点との連携や情報交換などの窓口を担っている。「プロジェクト全体の進■状況はもちろん、各分担研究者の進めている研究テーマについても詳しく把握し、スムーズに研究活動を進められるよう調整します。また、本拠点での研究内容を社会にアウトリーチしていくことも重要な目的の一つです」と鈴木教授。学外との協力体制も整備ビィー健康研究所などの企業とのしており、塩野義製薬株式会社、デンカ株式会社、株式会社エヌ連携体制を構築。国際連携では、本学の国際連携研究教育局(GI-CoRE)が築いている国際研究・教育ネットワークと一体化し、国内外の感染症情報・研究開発動向の収集を行うと同時に、各拠点との情報共有を図る。鈴木教授は、「人獣共通感染症国際共同研究所での研究成果をベースに、それらを確実に社会実装していくための後方支援をしっかりやっていきたい。これまで以上のスピードシャリティを持った人材が同じ研ションが生まれるのではないかと感を持って取り組んでいきたいですね」と意気込みを語る。IVReDには多くの若手研究者が集まっている。バックグラウンドは多彩で、免疫や臨床応用、情報科学など、それぞれにスペ究室に所属している。臨床開発部門の高田健介特任准教授は、「専門分野が異なる研究者が一つの目標に向かって協力し合う雰囲気がありますね。多様な領域が触れ合う部分からイノベー期待しています」と話す。薬学を専門とする生体応答解析部門の田畑耕史郎特任助教は、「ワクチンを製品化して社会に送り出すメーカーの役割も不可欠であり、自分たちが開発したものをメーカー側にどう認めてもらうかという視点も大切だと思います」と話す。 「自分の研究成果を臨床の現場に還元したいという思いからIVReDにきました」と話すのは臨床開発部門の竹内寛人特任助教。基礎研究だけでなく、予防や治療に役立てるための「出口」を強く意識するのは、ここに集う若手研究者たちに共通するマインドでもある。研究支援部門のゴンザレズ・ガブリエル特任准教授は、データ処理や解析、シミュレーションなどの情報科学分野を担っている。「私たちが開発したワクチンの有効性を立証するためには、解析データを外部の人たちにきちんと示すことも重要です」澤教授も、「本学のOフロンティア卓越大学院プログラムの下、国際感染症学院、獣医学院の修了生など、若い研究者が興味を持って参加してくれることは非常に有意義なこと」と話す。人類を脅かす危険性のあるウイルスの存在をいち早く検知し、先回り戦略で「次のパンデミック」に備えるIVReD。北大の有する知見をベースに、研究開発拠点群の若手研究者と国内外との連携による、世界レベルの感染症対策プラットフォーム構築への動きには、大きな期待がかけられている。オール北大の研究開発体制若手研究者への期待Litterae Populi Vol.71 08研究支援部門長の鈴木教授。respond 1 −感染症から人類を守る− ワクチン研究開発拠点(IVReD)
元のページ ../index.html#8