litterae_vol.72
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―寳金こうした細やかな気配りを大切にしていて、日本人の素晴らしさの原点がここにある気がします。我々のお店は、顔見知りのお客様が多く、地域のコミュニティが形成されて会話が生まれます。これがサービスの原点で、顧客満足度もこのような関係から生まれるものだと思います。やはり、お客様とその地域を大切にすることに尽きます。新しいコミュニティを作らないと、新しい社会を構築できないと思います。とても参考になりました。最後に、今後の展望と北大生へのメッセージをお願いします。北海道の田舎町では高齢化         による過疎化が進んでいて、このような地域で会社をどう発展させるか。まず、マーケットを1人の顧客ではなく365人と捉えることが重要です。人口の多寡ではなく、必要な品■えをすることで、マーケットは深化するので、この3次元構造を生かしていく必要があります。将来的には北海道がエネルギーの重要供給基地になる可能性や、新幹線の延伸による観光の発展、産学連携の拡大が期待されます。初山別村の店舗は、人口減少にもかかわらず売り上げは増加していて、人口減少を嘆くのではなく、いかに地域のマーケットに深く浸透していくか、北海道のあらゆる地域にそのポテンシャルがあると思います。私は、地域おこしではなく、「地域残し」と言っているんです。残していけばチャンスはあるので、そこを生かすことが、我々の小売業としてだけではなく、食品製造業としてのあるべき姿かと思っています。北大生には、北海道というバックグラウンドを生かして、広大な学習環境で学べることの価値を考えてほしいです。地方・地域をどう生かすか、北海道は食の供給基地であることは間違いないので、学んだことを北海道の地で実践してほしいと思います。北海道は将来性がある地域なので、北大生が活躍する場として期待しています。性を持つこと、地域性を意識すること、サステイナブルであることなど、北大が目指していることと共通していると感じました。人材育成と北海道の未来を現状の中で捉えていく姿勢には、大学経営ととても近いとあらためて感銘を受けました。本日はありがとうございました。今日のお話を聞いて、独自独自性を持ち、地域性を意識することは、北大が目指していることと共通します。寳金丸谷寳金15  Litterae Populi Vol.72HOUKIN Kiyohiro1954年、北海道出身。北海道大学医学部卒業。医学博士(北海道大学)。1979年北海道大学医学部附属病院等に勤務。米国カリフォルニア大学デービス校客員研究員等を経て、2000年北海道大学大学院医学研究科助教授、2001年札幌医科大学医学部教授、2010年北海道大学大学院医学研究科教授に就任。2013年北海道大学病院長・北海道大学副理事、2017年北海道大学病院長・北海道大学副学長を歴任し、2020年10月から現職。北海道大学総長寳金 清博

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