i1234北海道大学アンバサダー就任のLitterae Populi Vol.72 18お話をいただき、北大に貢献し続ける機会をもらえたことは、私自身にとってもマレーシアのサラワク州にとっても非常に名誉なことです。これまで私はアンバサダーとして、様々なイベントを通じて北大のことをマレーシア国内外に紹介してきました。2022年9月には、森林や農耕地などの陸域生態系と大気との間での温室効果ガスやエネルギーの交換(フラックス)について研究するアジアの大学や研究機関が集まる国際会議「AsiaFlux2022」を、マレーシアのクチンにおいて、サワラク州熱帯泥炭研究所(TROPI)、北大などと共同開催しました。また、北大の留学生と研究活動や仕事、日常生活についての経験を共有し、彼らのモチベーションを高め、向上心を引き出すために取り組んできましたし、北大の修士課程、博士課程での研究内容については多くの同僚に推奨してきました。私は現在、TROPIの所長を務めています。TROPIには、熱帯泥炭地の様々な土地利用の変化に伴う二酸化炭素とメタンガスの排出量を測定するための3基のエディフラックスタワー(生態系や農地からの微量ガスの交換率を決定し、二酸化炭素やメタンガスの排出量を定量化するもの)があります。これを利用して、TROPIは北大と共同研究を行っています。マレーシアではこの専門分野に関する知識が限られていることから、北大との連携は私たちの研究プロジェクトを進める上で大きな助けとなりました。その結果、私たちは、熱帯泥炭地の様々な土地利用における温室効果ガスの動きをモニタリングする包括的で長期的なアプローチを持つ、マレーシアの先駆的なチームとなることができました。私は、北大の教育への熱心な取り組みと様々なプログラムを推進する献身的な姿勢には本当に関心しています。自分自身の学生時代のことや現状を考えてみても、北大は、日本人学生だけではなく、世界各国からの留学生にもその取り組みを開放しています。北大の教育や研究活動は、マレーシアにおいても学会や出版物、イベント等でTROPIを通じてとてもよく知られています。今後も、北大との連携を強化し、学術的な共同指導と研究活動の両1.AsiaFlux2022の公式発表会2.AsiaFlux2022の期間中にマルダム国立公園への小旅行に参加3. 「マレーシアにおける日本卒業生の現状に関するシンポジウム」での集合写真4. 2023年12月に開催されたAmerican Geoscience Union 2023で発表した、北大卒業生でTROPIに所属するDr. Wong Guan Xhuan方を進めていきたいと考えています。北大と一緒に参加したイベントで特に印象に残っているのは、前述の「AsiaFlux2022」と、同年12月の「マレーシアにおける日本卒業生の現状に関するシンポジウム」です。そこで、私たちの研究成果や経験を発表し共有できたことには大きな意義があります。このような北大とのチームワークや研究連携は、TROPIの地位の確立にも大きく貢献しました。私にとって、マレーシアと札幌との共通点は、それぞれの国において家族のようなつながりを感じることです。札幌には、先生や研究室の仲間、友人など、心から信頼できる人々がいます。一方、気候や文化、言語、食べ物など、生活における様々な側面で、それぞれ違いがあります。クラーク博士が残した「Be ambitious!」という言葉は皆さんへの大切なメッセージです。北大の皆さん、卓越性を追求するという強い思いを胸に、学問への旅路に乗り出しましょう。富や名声のためではなく、若きリーダーたちの明るい未来のために大志を抱きましょう!From ルリー メリング(Lulie Melling)氏サラワク州教育イノベーション人材開発省 サラワク州熱帯泥炭研究所 所長 (Director, Sarawak Tropical Peat Research Institute (TROPI), Ministry of Education, Innovation & Talent Development Sarawak (MEITD))2017年3月北海道大学アンバサダー就任世界を彩る北海道大学コミュニティ今号では、マレーシアにおいて北海道大学アンバサダーとして活躍するルリー メリング氏と、ザンビアにおいて北海道大学パートナーとして活躍するジョン ヤベ氏からの寄稿を紹介します。MlMalaysia//ZZambiabi
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