litterae_vol.72
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その結果、病気に強いうえ収量も多く、風味や見た目の良い新系統が誕生し、特に優れた4種類を「北大ラズベリー」と認定した。さらに、野生種にあった1年に2回実をつける「二季なり」の特徴も併せ持つようになった。果実は海外より小ぶりだが、星野教授は、「見た目にこだわり、美しいものを厳選しました。味にも自信があります」と胸を張る。                                星野教授が品種改良と同じく注力したのは、北大ラズベリーを余市町の農家に活用してもらうことだ。町役場に協力を依頼して、希望した町内の農家に北大ラズベリーの苗を配った。北大ラズベリーを育てている砂川果樹園の砂川啓二代表は、「北大ラズベリーは他の品種より香りと甘みがショッピングサイトで販売を始め強く、収穫時に実が型崩れしないのもいいです。農家も高齢化していて脚立作業が厳しくなっているが、北大ラズベリーは木の背丈が低いので収穫がしやすく、病気や虫に強いので農薬散布の作業を省力化できます」と話す。砂川さんは北大ラズベリーをもっと多くの人に味わってほしいと、2024年2月からJALのオンラインている。「Kurum立ってほしいと思ってやってきまチョコレートにも合わせられておまた、北大ラズベリーは余市町の焼き菓子と雑貨のお店&チョコレートマフィン」として商品化されている。店主の竹内胡桃さんは、「3年前に余市でお店を始めた時、国内で、しかも地元で作られたラズベリーが手に入るなんて本当に驚きでした。北大ラズベリーは酸味がまろやかで、菓子にぴったり。北大ラズベリーのマフィンは予約注文する人がいるほど人気です」と話す。2022年に商標登録されるまで、基礎研究から15年の月日を経て結実した北大ラズベリー。星野教授は、「研究が誰かの役にした。常に綱渡りでしたが、たくさんの人の協力でここまで来て、奇跡だと思います。これからも北大ラズベリーを広めていきたいです」と意欲を見せた。i no ki」で「ラズベリー地元・北海道に愛されるラズベリーへ09  Litterae Populi Vol.72ラズベリー&チョコレートマフィン。(提供:Kurumi no ki) 北大では、研究成果を活用し、本学の特徴を活かした商品を「北大ブランド」として認定しており、北大の名称やエンレイソウのロゴマークを付けて販売している。北大ブランドの商品は現在、食品や化粧品など276アイテムにのぼり、学内の生協やカフェ、総合博物館などで購入できる。 北大の農場や研究技術を活かした商品は、「北大短角牛」、「北大ラズベリー」のほか、札幌キャンパス内の農場で放牧された乳牛から絞った「北大牛乳」などがある。北大牛乳は夏と冬で味わいが変わるのが特徴だ。夏は牛が放牧北海道大学 産学・地域協働推進機構 産学協働マネージャー地に生える草を食べるため、あっさりとしたさわやかな風味に、冬は干し草やトウモロコシを食べるので濃厚な風味になる。「北大マルシェCafé&Labo」や総合博物館の「ミュージアムカフェ ぽらす」で楽しめるほか、北大牛乳を使ったクッキーなどのお菓子も同マルシェで販売されている。正門近くの「カフェdeごはん」では、北大牛乳のソフトクリームも提供されている。 また、北大函館キャンパスに近い七飯淡水実験所で継代飼育されたサケマス類の淡水魚は「北大トラウト」として商品化。成果魚(研究で使われなかった魚)を活用しており、清潔な環境で育てられたため臭みが少なく、本来の身や脂のうまみを楽しめるという。サクラマスとヤマメの燻製が商品化しており、函館・五稜郭近くの「おしま産直マルシェ」などで販売されている。 「北大ブランドは北大の先人の知恵や歴史がつまった財産。ぜひお店でエンレイソウのロゴマークを探して、商品を手に取って北大を身近に感じてほしいです」と城野さんは話す。 城野 理佳子KINO Rikako先人の知恵がつまった北大ブランド商品

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