litterae_vol.73
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考古学を専門としている私にとっLitterae Populi Vol.73  18て、同僚であるアイヌ・先住民研究センターの加藤博文教授を通じた考古学とのつながりや、アイヌ文化・民族研究との結びつきはとても重要なものです。そのような中で、北海道大学のアンバサダーを務められることはとても名誉なことだと思っています。私は北海道大学との関わりを通じて、日本の文化や歴史について、より一層深く理解することができるようになりました。アンバサダーやパートナーとの活動を通じて、イギリスでの北海道大学の知名度も大きく向上しています。それだけでなく、このような国際的な協力関係を通じて、私たち自身もたくさんのことを学び、その恩恵を受けていると実感しています。現在、『Humans: the First Seven Million Years』というタイトルのグローバルヒストリーを執筆しており、まもなく書き上げるところです。この著書では、人類の多様性と相違性を示すとともに、私たち人類が共通して持っているものを明らかにしようとしています。その中で、私が最も基本的な共通の要素として主張したいのは、協力する能力です。この著書の執筆をきっかけに、日本やその周辺地域の長期的な歴史をより深く理解することができて、とても満足しています。アンバサダーの活動として最も印象に残っているのは、北海道大学で講義をし、同僚に会えたことです。また、国立アイヌ民族博物館や様々な遺跡も訪れることができました。北海道大学では、国際的な連携や協働のあり方を模索しながら、様々な研究活動が進められています。特に礼文島で実施されている発掘調査は、学生たちの実習のためだけではなく、そこで得られる研究成果のためにも非常に重要だと思います。考古学や人類学の分野において、北海道大学は世界的な地位を確立していますし、これから数年間でこの評価は確実に高まっていくと思っています。札幌とオックスフォードの共通点は、どちらも大学がある都市であり、大学の存在が重要だというところだと思います。一方で両都市の異なる点は、札幌の方がオックスフォードより食べ物がおいしいことです。私は、北海道大学のコミュニティの一員であることが大変嬉しいですし、これからもそうあり続けたいと願っています。From   クリス ゴスデン(Chris Gosden)氏オックスフォード大学 名誉教授 (Emeritus Professor of European Archaeology, University of Oxford)2018年7月北海道大学アンバサダー就任知の交流で世界をつなぐ北海道大学今号では、イギリスにおいて北海道大学アンバサダーとして活躍するクリス ゴスデン氏と、スウェーデンにおいて北海道大学パートナーとして活躍するヴラダナ ヴコイェヴィッ氏からの寄稿を紹介します。UKUK//SSwedend

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