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札幌キャンパスの足元に眠る、5,000年の歴史

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北海道大学 札幌キャンパスは、その土地ほぼすべてが遺跡に登録されており、北海道大学 埋蔵文化財調査センターが調査や管理を行っています。これまでの発掘調査で、札幌キャンパスの足元には、約5,000年前以降の遺跡が眠っており、当時から人びとが集う場所だったことが明らかになってきました。北海道大学 総合博物館では、埋蔵文化財調査センターの収蔵品をはじめ、今回のために採取された出土物の特別展示を開催しています。

企画展のタイトルは、「K39:考古学からみた北大キャンパスの5,000年」。K39とは、北区にある札幌市で39番目に登録された遺跡という意味です。開催初日には、オープニングセレモニーと展示解説が行われました。

セレモニーでは、小澤丈夫教授(総合博物館長)が登壇し、「本企画を通して、キャンパスの地面の上と下で歴史が重層していることがわかり、北大の魅力が様々なレイヤーを通して見えてくると思います」と語りました。続いて、「構内で発掘調査の様子はよく目にしてきましたが、発掘されたものについての情報を得る機会はなかなか無いので、今回は良いチャンスであると感じています」と、西井準治理事・副学長。最後に、小杉 康教授(埋蔵文化財調査センター長)が、「総合博物館は約20年、埋蔵文化財調査センターは約40年という節目の年に、長年の活動が結晶した企画展を実施でき、大変感慨深いです」と話しました。

(テープカットの様子。左から小杉教授、小澤教授、西井理事・副学長)

展示解説は、企画者の江田真毅准教授(総合博物館)が担当しました。江田准教授に導かれ博物館のエントランスへ進むと、目に飛び込んできたのは、高さ約4mもの地層標本。工学部の総合研究棟(機械工学系)地点の発掘現場から実際に採取された地層で、一番古い下の部分はおよそ5,000年前のものです。

(普段は解放されていない中2階まで登って、じっくり観察することができます)

展示会場の奥へ進むと、江田准教授イチオシの北大式土器が展示されています。「土器の名前に大学名が付いているのは、日本ではこの土器だけです。世界的にみても非常に珍しいことなんですよ」。ポプラ並木の東側地域(現在の花木園)の地面の下などから発掘されたもので、続縄文後期(5世紀~7世紀頃)につくられたと考えられています。

(フチに沿ってくぼみのようなデザインが施されているのが特徴です)

「キャンパスのいま見えている景色に目をやるだけでなく、そのすぐ下に眠っている長い歴史を感じてもらえたら」と江田准教授。展示物そのものをよく観てもらえるよう解説パネルの数を減らすなど、展示の仕方にも工夫がみられます。

札幌キャンパスの豊かな自然と歴史を感じる建造物は、学生や研究者、職員をはじめ、地元民や観光客にも愛されています。企画展を通して、この土地で5,000年間営まれてきた人びとの生活の息吹を感じると、目の前に広がるそうしたキャンパスの風景が、少し違って見えるかもしれません。

夏季企画展示「K39:考古学からみた北大キャンパスの5,000年」

会 期:2019年7月19日(金)~9月29日(日)
会 場:北海道大学総合博物館 1階 企画展示室(入場無料)
時 間:10:00~17:00(会期中の金曜日は21:00まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日休館)、8月5日(月)は特別開館、9月1日(日)は臨時休館
共 催:北海道大学埋蔵文化財調査センター

土器で味わう、タピオカミルクティー「タピ土器~続縄文期北大式土器~」

総合博物館内のカフェぽらすでは、北大式土器を再現した器で、今流行りのタピオカミルクティーを味わうことができます。1600円で販売されており、土器は持ち帰り可能です。なぜ土器に「タピオカ」なのか? 実はこれにも北大の遺跡から出土したあるものが関係しています。その答えは、ぜひ展示会場で探してみてください。(ミュージアムカフェぽらす 平日(火~木)8:30~19:00営業)

(タピ土器を手にする江田准教授)

埋蔵文化財調査センターの展示も必見

さらに、総合博物館の向かいに位置する埋蔵文化財調査センターでも、本企画展と連動した展示を行っています。こちらも合わせてお立ち寄りください。(北海道大学 埋蔵文化財調査センター 平日9:00~16:30開館。2019年7~8月のみ、金曜日は20:30まで、土日祝は10:30~16:30開館)

(文・写真:総務企画部広報課 学術国際広報担当  菊池優)

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掲載日:2019年7月29日