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落ち葉舞い散る土曜日の昼下がり。
キャンパスの北に位置する遠友学舎では、「ユネスコ世界寺子屋運動くるりんぱ展」が催されていた。会場に入ると、賑やかにはしゃぐ子どもたちと奮闘する北大生のボランティアで楽しそう。ちょうど合唱団のミニコンサートの最中で「都ぞ弥生」の甘いハーモニーに思わず感激した。
そうこうしているうちに、クラーク会館に向かう時間が近づく。きょうは、映画館プロジェクトの「クラークシアター」の上映日なのだ。遠友学舎を後にして、南に向かって中央道路を約1キロ歩く。普段は長く感じる道だが、穏やかな休日に、色づく風景を眺めて落ち葉をバリバリ踏み進むのはちょっと楽しい。どおりで今日は人通りも多く、「ヘー」、「ハー」と感嘆の声があちこちで聞こえる。
イチョウ並木に達すると人波はさらに増す。つい夢中になると、通り過ぎる乗用車にも気づかない・・。そんな心配があって、昨年からピーク時に歩行者天国として開放することになったらしい。
さらに先へ進むと間近にクラシックカーが見えてくる。想定外の品物に凝視しながら近寄ると「北海道大学」の文字と赤いマーク・・。「一体何?」「昔の総長車?」尋ねてみると、北大自動車部の創立50周年を記念して復元された「ダットサン1000・211型」であることがわかった。OBの支援があって、長くホコリをかぶり眠っていた車に息吹が戻った。「後輩達よ、大事に使って!」とクラシックカーのつぶやきを聞きながら、さらに南下。
こちらは、最早、観光スポットの定番と化した「総合博物館」。アイデアマンのスタッフたちが様々な企画で楽しませてくれる。同じく定番ゾーンの「クラーク像」や北大オリジナルグッズを置いている「北大交流プラザ」を通り抜けると、目的地「クラーク会館」に達する。
クラークシアターの看板や招き役の学生スタッフで賑やかだ。元気プロジェクト採択企画でもあるこのイベントは今年で2年目。リピーターを含め大勢の老若男女が詰めかけた。本日の話題は何と言っても「活弁映画」。お客さんによる活弁士体験コーナーもあり、「学習発表で慣れているから」と小学生の女の子が舞台慣れした活弁ぶりを披露した時は、「時代が変わった」と周囲がどよめいた。
こうして、秋深まる土曜日の午後を楽しんだ。紅葉に感嘆する観光客や映画や展覧会を楽しむお年寄りや子どもたちを目にすると、キャンパスもいろいろなかたちで開放されるようになったことに気がついた。定番のスポットに小さなイベントをいくつか組み合わせると、一段と華やかになり、素敵な散歩コースやデートコースになること請け合い。約2万人の北大関係者の一人としては、お一人おひとりにお茶でも出したい心境になるのだが、「きれいだったね」、「楽しかったね」とくつろいでもらえるスポットが今のキャンパスにはまだないようだ。 |
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