地域に聞く学生のゴミ問題
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 頭では分っている。ゴミは決められた日時、決められた場所にきちんと分別して出さなくてはならない。でも分別が面倒だったり朝起きられなかったりして、つい分別しないままゴミ袋に突っ込んで夜中に出してしまう。そんな学生は少なくないのかもしれない。今、札幌の中心部で学生のゴミの出し方が問題となっている。学生のゴミの出し方を地域の方はどのように見ているのだろうか。北大周辺の幌北地区の衛生部長、加登さんにお話を聞いた。

 ゴミの出し方が乱れている北大周辺。地域住民の八割は単身者で、その半数以上が学生である。地域の方にとって、ここに住む学生といえば北大生という意識がある。だからゴミの捨て方について問題とされている学生には、まず北大生があがる。
 「今の若い人はとにかくゴミは汚いものと考えていて、一刻も早く自分の外のエリアに持っていこうとするのではないか」、と加登さんはいう。汚いゴミを遠ざけたいから、まずゴミステーションへ出す。決まりではゴミを出す時間は収集日の朝八時三十分までだ。ところが朝は起きられないから前日の夜に出す。板を組み立てた囲いにネットを被せた中に入れなくてはならないが、かまわずにネットの上に放る。夜に出したゴミには早朝からカラスが群がるし、ネットの中に入っていないゴミはカラスにとって格好の朝食だ。カラスが食い荒らすことで、収集日のゴミステーション付近はゴミで散らかってしまう。自分のゴミはきちんと出す人でも、他人のゴミで散らかっているのを片付けることはまずない。散らかったゴミステーションを、ほうきなどを使ってきれいにするのは地域のごく一部のお年寄りだ。「ゴミステーションはゴミ捨て場じゃなくて、収集までのごみの一時保管場所なんですが・・・」(加登さん)
 ゴミステーションを規則正しく使うことは本当にできないのだろうか。しかし個人住宅が集まる地域のゴミステーションは、住民も決められた通りにゴミを出しカラスに荒らされることもなく、きれいなのだそうだ。結局のところ意識の持ちようなのではないだろうか。地域の方々にくらべ、一人暮らしの北大生は地域への帰属意識は低いのだろう。それでも学校からアパートやマンションに帰れば一地域住民であることに変わりはない。「地域の一員としてどうあるべきかを考える必要があるのではないかな」と加登さんは語る。他の多くの住民と一緒にこの地域で暮らしているのだ。住民としてモラルを創っていく。という意識を学生の多くが持っていないこと。これがゴミの出し方がずさんになる原因かもしれない。加登さんが小学校の社会科の授業の一環として地域のゴミ問題について講演したとき、「私たちがポスターを作って呼びかければいいのではないか」との子供たちからの意見もあがった。
 加登さんは「学生と地域がもっと接触できればいいんだけどね」という。確かに学生が地域により積極的に関わっていけば、学生の地域への意識も高まりゴミの出し方も改まっていくかもしれない。散らかったゴミステーションを片付けているのは地域のお年寄りの方々だ。小学生もゴミの問題について自分たちにできることを提案していた。学生も人ごとでは済まされない。夜中にゴミを出すとどうなるか想像してみる。ゴミ袋をネットの中に入れる。今すぐできる少しのことからまず始めてみたい。

ゴミステーションからあふれるゴミ



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