数年にわたる整備計画を立てて一般公開のための整備をしていた,重要文化財「札幌農学校第2農場」の一部建物の内部公開が本年4月29日から始まりました。
札幌農学校第2農場は,明治9年(1876)札幌農学校開校の直後に,クラーク博士の構想によって,一戸の酪農家をイメージした北海道開拓の模範農場として開設されました。開設当時は,現在の大学事務局から情報基盤センターにかけての地帯(北10〜11条,西5丁目付近)に数棟の建物が建てられましたが,明治42〜44年(1909〜11)にかけて現在地(北18条西8丁目)に移転し,昭和42年(1967)まで本学の農学教育・研究の場として使われていました。その後,これらの施設は,その歴史的,文化的価値を認められ,昭和44年(1969)に重要文化財の指定を受け,復元改修されて現在まで保存されています。重要文化財指定後は,一部関係者が調査や見学に訪れて建物内部に立ち入ることがあるだけで,一般には建物内部は非公開でした。このような状況の中で,評議会は平成12年に,これら施設等の歴史的・文化的価値を広く社会に伝えようと,一般公開を推進することを決定しました。これを受けて,総合博物館運営委員会のもとに「モデルバーン等の一般公開に関する専門委員会」が設置され,一般公開に向けた展示設備や管理体制を検討・整備してきました。
更に,本格的な一般公開に先立ち,平成13年秋には北海道大学創基125周年記念事業にあわせて6日間の臨時公開を行いました。この直後に北海道遺産に選定されたこともあり,翌平成14年には,春と秋に2回,延べ8日間の臨時公開を実施して1,020名の入場者,平成15年には,前年同様の春秋2回の公開で1,502名の入場者がありました。特に平成15年秋の公開では,道外からの訪問者が約半数に達し,常時公開の要望も少なからず寄せられました。
このように学外での認識と期待が高まってきた中で,照明設備,監視カメラシステムなどの主要なインフラが整備され,今回の長期一般公開が実現できたことは,大学当局はじめ多くの方々の支援によるものです。公開内容は下記のとおりですが,今後さらに整備を進め,穀物庫2階,牧牛舎1階の公開を予定しています。
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