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札幌農学校第14期生平塚直治受講ノート4冊を受贈

 7月5日(水),札幌農学校第14期生平塚直治の受講ノート4冊が,北海道大学大学文書館に寄贈されました。寄贈者はご息女の西信子さんです。当日は,受講ノートを大切に保管されてこられた信子さん,信子さんのご子息西安信氏(北海道工業大学学長)・千里さんご夫妻が来学されて,総長室において中村睦男総長,逸見勝亮理事(大学文書館長)に受講ノートを手渡され,平塚直治をはじめとする往時についてのお話をしていただきました。
 平塚直治は明治6(1873)年札幌生まれ,明治21(1888)年に札幌農学校予備科に入学,本科に進学して農学科で植物学を専攻しました。明治29(1896)年,「本邦メランプソラ属ノ研究」を卒業論文として農学校を卒業し,さらに「亜麻立枯病研究」を進めました。その後,尋常中学校教諭を経て,北海道製麻株式会社の技師となり,帝国製麻株式会社の取締役を務めて,昭和21(1946)年に死去するまで北海道の実業界において重きをなしました。
 この度,寄贈された受講ノートは以下の4冊です。

・宮部金吾講義「植物学 第1巻 隠花植物」(1893年1月〜7月)
・佐藤昌介講義「農業経済学 第1巻 第1編農業基本論」(1894年9月〜1895年12月)
・南鷹次郎講義「園芸学 第2巻」(1894年10月〜1895年4月)
・新渡戸稲造講義「農政学」(1895年9月〜1896年)

 佐藤昌介,新渡戸稲造,宮部金吾,南鷹次郎は,W.ホイーラー,D.P.ペンハロー,P.ブルックスといった外国人教師に学んだ農学校の第1,2期生です。彼らが農学校生徒時代,外国人教師の英語による講義の受講ノートも現存するので,寄贈された平塚直治受講ノートを詳細に分析することにより,農学校教授となった第1,2期生が外国人教師から授けられた学問をどのように継承し後進に伝えていったかという,札幌農学校の学術史を明らかにすることができます。「植物学」受講ノートはすべて英語で記述されていることから,講義は宮部により英語で行われたと考えられます。ほかの3冊は英語を交えた日本語で記されています。
 今後,受講ノートは,附属図書館沿革資料展示室において展示します。また,大学文書館において,受講ノートの複写作成や覆刻を行い,歴史的資料として広く活用できるようにいたします。
受講ノートの贈呈(左より北海道工業大学学長 西安信氏,西信子さん,逸見理事,中村総長) 宮部金吾講義「植物学 第1巻 隠花植物」(1893年1月〜7月,平塚直治受講ノート)
受講ノートの贈呈
(左より北海道工業大学学長 西安信氏,西信子さん,逸見理事,中村総長)
宮部金吾講義「植物学 第1巻 隠花植物」
(1893年1月〜7月,平塚直治受講ノート)
(大学文書館)

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