大学文書館では,2月26日(月),仙台学寮関係資料の寄贈を受けました。寄贈者は,杉野目浩名誉教授です。
仙台学寮は,1923(大正12)年5月,当時,北海道帝国大学農学部教授であった半澤洵(札幌農学校第19期生),帝国製麻株式会社取締役であった平塚直治(同第14期生)等が,仙台藩祖貞山公(伊達政宗)祭典において,旧仙台藩出身・子弟である北海道帝国大学学生生徒のための寄宿舎として,「仙台学生館」建設を発議したことに端を発します。半澤,平塚をはじめ,旧仙台藩関係者の多大な尽力と募金活動により,1924(大正13)年11月29日,札幌市北7条西12丁目(北海道帝国大学所管敷地)に,「仙台学寮」(高橋是清命名)が開寮しました。当地は,北大教官の邸宅が建ち並ぶ桑園博士町に相接し,「北盟寮」(秋田県),「尚志舎」(長野県),「第三進修学舎」(和歌山県)といった各県の学生寄宿舎が所在していました。
仙台学寮は,1965(昭和40)年12月改築,1981(昭和56)年9月移転(西区琴似)を経て,2002(平成14)年3月閉寮に至るまで,約500名にのぼる北大生の学生寄宿舎としての役割を果たしてきました。学寮事業を行ってきた(財)仙台学寮(1925年8月〜2004年3月)の解散に際し,理事であった杉野目浩名誉教授が仙台学寮関係資料を整理して,同資料に基づき『財団法人仙台学寮1924〜2004』(2004年10月刊行)を編さんし,同資料を大切に保管してきました。
この度,寄贈を受けた仙台学寮関係資料は,学寮日誌16点,寮生日誌30点,芳名録9点,アルバム4点をはじめ,建設図面一式,(財)仙台学寮設立・運営関係文書など約230点を超えます。
例えば,「芳名録」では,開寮式挙行の1924(大正13)年11月29日に,総長佐藤昌介や,宮部金吾,時任一彦,高杉栄次郎といった桑園博士町の教授たちの毛筆署名を見ることができます。1940(昭和15)年10月6日には,当時の(財)仙台学寮理事で理学部教授杉野目晴貞の案内により,土井晩翠が講話のため来寮し,「芳名録」に署名しています。これらは,北大生の学生生活を支えた学生寮の歴史を物語り,北大を彩った人々の軌跡をたどることができる貴重な資料です。
これまで,大学文書館では,学生寮関係資料として,札幌農学校寄宿舎・恵迪寮,新潟寮の文書資料,青年寄宿舎の物資料(看板等)を収集しています。今後,大学文書館では,仙台学寮を含め,これら学生寮関係資料群の目録を整備したのち,沿革資料として活用・提供していきます。 |
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建築中の仙台学寮(1924年) |
開寮式出席者(1924年) |
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仙台学寮関係資料(芳名録・学寮日誌) |
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(大学文書館) |
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