大学文書館では,10月12日(金)に,坂村徹関係資料を,鳥山英雄氏(1949年理学部植物学科卒業)から,ご寄贈いただきました。
坂村徹(1888〜1980)は,1913(大正2)年東北帝国大学農科大学農学科を卒業,同大学大学院で細胞遺伝学研究を行ない,1918(大正7)年11月助教授に就任しました。その後,欧米留学を経て,北海道帝国大学農学部教授に昇任し,1930(昭和5)年理学部開設とともに理学部植物学科第一講座(植物生理学)の教授となり,1943(昭和18)年には理学部長もつとめました。
この度,受贈した坂村徹関係資料は,筆写ノート,留学日記,出張日記など13点です。筆写ノートは,植物細胞学者ギエルモンの論文(1914)を坂村徹が緻密に写したノートです。このノートは,坂村徹が1949(昭和24)年秋,鳥山英雄氏の東京女子大学への赴任にあたり,送別記念として贈ったものです。立派な製本ノートの中表紙には「呈鳥山君,坂村」と署名しています。
留学日記は,坂村徹が1918(大正7)年12月から約2年間,植物生理学担当の教授候補として,欧米留学した際の日記です。留学前の坂村徹は,麦類交配種に関する研究調査を行ない,小麦の正確な染色体数を発見,留学に際して小麦研究の材料全てを木原均に託しています。日記の中で,坂村徹は,植物生理学者としての新たな視点から,欧米各地の研究生活を克明に記しています。一方,出張日記は,坂村徹が1930(昭和5)年9月から約8カ月,植物生理学の世界的動向を視察するため,欧米出張した際の日記です。1931(昭和6)年2月には,ソルボンヌにギエルモン教授を訪問しています。
今後,これらの受贈資料については,大学文書館において,学術研究資料として広く活用できるようにいたします。 |
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(大学文書館) |
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