4月7日(月)の午後,北海道大学経営評議会の学外委員をお引き受けいただいていた山田家正・元小樽商科大学学長と,昆布種苗の大量生産という画期的な研究に成功した業績をお持ちで昭和60年度紫綬褒章をはじめとして多くの賞を受賞された長谷川由雄・元北海道区水産研究所所長が総合博物館を訪問されました。両氏とも理学部植物学科の卒業生であり,長谷川由雄氏の学生時代の講義ノート2冊を総合博物館へ寄贈するための来館で,館長が応対して寄贈品を受け取りました。
寄贈された2冊のうちの1冊は,ヒトの染色体数が46本であることを確定した業績を誇る故牧野佐二郎教授(理学部動物学教室)が助教授時代に行った「動物形態学」の講義(1942〜1943)を大学ノート179ページにびっしりと記したもの,もう1冊は,海藻分類学の草分け故山田幸男教授(理学部植物学教室)が1942年に講義した「植物分類学」を筆記した86ページの大学ノートです。両方ともしっかり製本されていて,インクで書き込まれた講義内容の文章の間に,講義中に配られた参考図が貼り込まれています。文章は漢字交じりのカタカナ書きで,散在する専門用語は英語とドイツ語で表記されています。長谷川氏に聞くところによると,授業をリアルタイムで聞きながら,参考図を貼る余白を考えながらGペンにインクを付けて書いていった,とのことです。現在ではとても信じられないパフォーマンスを当時の学生は発揮していたことを知り驚きました。今時の講義はほとんどパワーポイントを使って行われ,講義内容をノートに記す学生は極めて限られています。定期試験の成績がおしなべて悪く,講義内容がしっかり理解できていない理由の一つはこのような授業形態と講義ノートを記さない最近の学生習慣にあるのかもしれません。
総合博物館としては,北海道大学の過去の実績を現在の学生に知ってもらうために,今回長谷川由雄氏から寄贈された講義ノートを大いに活用しようと考えています。さらに,このような過去の講義ノートを持ちの方,あるいはお持ちの方をご存じの方は是非とも博物館への寄贈をお考えいただきければ幸いです。総合博物館では,多くの講義ノートが集まった段階で「講義ノート展」を企画したいと考えています。 |
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左から館長・長谷川氏・山田氏 |
講義ノート |
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(総合博物館) |
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