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「触媒化学研究センター第4回情報発信型国際シンポジウム(CRC International Symposium in Stockholm on “Cross-Coupling and Organometallics”)」開催

 本国際シンポジウムは,「日本が誇る先駆的研究成果を“日本の研究機関の主導で”海外において情報発信する」というコンセプトの基で企画され,平成17年のアーヘン工科大学(ドイツ),平成18年のパデュー大学(アメリカ合衆国),平成19年のリヨン大学(フランス)に続き今回が4回目の開催となりました。
 11月3日(月),スウェーデン王立科学アカデミーにおいて開催された今回のシンポジウムでは,北海道大学GCOEプログラム−触媒が先導する物質化学イノベーション−の支援をいただき,日本学術振興会との共催として開催され,同会ストックホルム事務所の全面的バックアップを受け実施されました。
 CRC International Symposiumは,『クロスカップリング反応』を主なテーマとしています。クロスカップリング反応は,非常に有用な炭素−炭素結合生成反応として工業的にも重要さを増しており,将来のノーベル賞の対象となっている分野であると言われています。特筆すべきは,この分野の発見・改良の過程において北大の研究者を含む多くの日本人研究者が関わっていることです。本年のシンポジウムには,この分野で先駆的な役割を果たされた4名の日本人研究者(鈴木章:北海道大学名誉教授,根岸英一:パデュー大学(米国)教授,玉尾皓平:理研基幹研究所長,檜山為次郎:京都大学教授)に加え,地元スウェーデンから2名(Prof. J. E. Backvall:ストックホルム大学, Prof. M. Larhed:ウプサラ大学),カナダから1名(Prof. M. G. Organ:ヨーク大学),ロシアから1名(Prof. I. Beletskaya:モスクワ国立大学),中国から1名(Prof. Shengming Ma:上海有機化学研究所)の研究者を講師として招待しました。
 シンポジウム当日は,100名を超える参加者を得て活発な議論が展開されました。また昼食後にはポスターセッションも行われ,ストックホルム大学,ウプサラ大学,及び北海道大学の大学院生による発表がありました。どの講演に対しても非常に多くの質問が寄せられ,予定時間を大幅にオーバーとなりましたが,ノーベル賞が期待されている研究者のハイレベルの講演により,盛況のうちに終了となりました。参加者,招待講演者からも大変好評で「次回の開催を是非私の大学で開催して欲しい」というありがたい申し出をいただいています。
 今回のシンポジウムは,スウェーデン王立科学アカデミーの講堂で行いましたが,この講堂はノーベル賞を受賞した研究者が受賞後初めて受賞講演を行う場所であり,厳かな雰囲気の中で開催されました。また,講演終了後の午後6時30分から,同アカデミー内のレストランにおいてBanquetが催され,多くの参加者が夜遅くまでシンポジウムの成功を祝いつつ交流を深めました。
 本シンポジウムには北海道大学から,高橋保・触媒化学研究センター教授,小笠原正道・同准教授に加え,事務職員1名(金川眞行),技術スタッフ4名(石川勝久,山岸太平,下田周平,川村祐介)が参加し,スウェーデン王立科学アカデミー,日本学術振興会ストックホルム事務所のスタッフと共に会の運営にあたりました。また,グローバルCOEの支援により5名の大学院生(植村真人,遠藤敬介,鹿島健,小林謙也,土田晃一郎)がポスター発表を行いました。会の準備・運営を通じて,ストックホルム大学のJ. E. Backvall教授にはとりわけ多大なるご尽力をいただき,この場をお借りして感謝申し上げる次第です。
講師9名と主催者
講師9名と主催者
講演する鈴木名誉教授 Backvall教授と聴衆
講演する鈴木名誉教授 Backvall教授と聴衆
(触媒化学研究センター)

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