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工学研究科 繪内教授及び医学研究科 三浪教授が
北海道科学技術賞を受賞

 工学研究科 繪内正道教授及び医学研究科 三浪明男教授が北海道科学技術賞を受賞されました。
 この賞は,科学技術上の優れた発明,研究等を行い,北海道産業の振興,道民生活の向上など経済社会の発展振興等に功績のあった個人または団体等の功績を讃え,知事表彰として贈呈されるものです。授賞式は,2月26日(木)に行われました。
 各氏の受賞にあたっての功績等を紹介します。

(総務部広報課)

○ 工学研究科 繪 内 正 道(えない まさみち) 氏  工学研究科  ない まさ みち 氏

 工学研究科 繪内正道教授は,「パッシブデザイン手法を用いた北方型省エネルギー建築の開発・推進」の功績により,受賞されました。
 同氏の功績と略歴を紹介します。
略 歴 等
昭和43年3月 北海道大学工学部建築工学科卒業
昭和45年3月 北海道大学大学院工学研究科修士課程修了
昭和45年4月 北海道大学工学部助手
昭和54年12月 工学博士(北海道大学)
昭和55年1月 北海道大学工学部助教授
平成9年4月 北海道大学大学院工学研究科教授
平成16年4月 北海道大学大学院工学研究科副研究科長
平成18年4月 北海道大学役員補佐

功 績 等

 地球温暖化防止のためにはCO2の排出削減が必須であって,産業用に加え,民生用のエネルギー消費の削減が要諦となっており,本道においても,住宅暖冷房用燃料の縮減が急務とされています。
 同氏は,これまで第一次石油危機における温熱環境の実態や室内の寒さの元凶など,住宅の熱的な性能水準と住まい方の変遷を研究する一方で,環境建築(Passive and Low Energy Building)の基本条件が,高断熱高気密化という平易で簡明な建築技術にあることを明らかにしてきました。無駄なエネルギーを極力使用せず,自然環境をより上手に利用する機能を発揮させる環境建築の究極は,無暖冷房(Heating and Cooling Free)にあると考え,高断熱・高気密化によって手に入る熱環境特性と冷涼な地域性を生かした夏対応を明示しつつ,パッシブデザイン手法を用いた北方型省エネルギー建築を開発・推進させてきました。
 このパッシブデザイン手法は,高断熱・高気密建物を対象に,新たな視点で日平均必要熱量に基づいた熱源機器容量の設計法(平均負荷計算法)と,多種トレーサーガス法による多数室換気測定法を確立させたことにより,室内外温度差を動力とするパッシブ換気を提案したものであり,高い評価を受けています。
 さらに同氏は,住宅に加え,事務所や学校,病院など広範囲な建物に対する実現可能な建築環境計画のデザイン手法を探求し,本道に相応しい外断熱工法技術やパッシブ換気の設計・施工等を提示しており,建物の熱環境計画の拠り所として,本道の科学技術の発展に寄与し,道民生活の向上および経済発展に多大な貢献を果たしました。

(工学研究科・工学部)


○医学研究科 三 浪 明 男(みなみ あきお) 氏 ○医学研究科  なみ あき  氏

 医学研究科 三浪明男教授は,「上肢外科領域の基礎及び臨床研究発展への貢献」の功績により,受賞されました。
 同氏の功績と略歴を紹介します。
略 歴 等
昭和47年3月 北海道大学医学部卒業
昭和47年4月 北海道大学医学部整形外科入局
昭和52年4月 北海道大学医学部附属研究施設病理部門研究生
昭和56年6月 医学博士(北海道大学)
昭和57年5月 米国メーヨ クリニック Orthopaedic Biomechanical Laboratory Reseach Fellow
昭和61年12月 北海道大学医学部附属病院講師
平成2年4月 北海道大学医学部助教授
平成12年8月 北海道大学大学院医学研究科教授

功 績 等

 同氏は整形外科領域,特に,肩から手指までを対象とする上肢疾患の基礎及び臨床研究を整形外科医となり約30年間,一貫して行ってきました。氏の臨床研究の主な功績は,微細な血管や神経を顕微鏡下に縫合するマイクロサージャリー技術の上肢領域への拡大応用,生体力学的研究を基盤とした関節リウマチに対する人工手関節の開発や手関節の代表的疾患に対する先進的な治療法開発に関する研究などがあります。これらの成果について本邦のみならず国外の学会で発表するとともに国際雑誌に数多くの論文として報告してきました。また,これらの治療法の一部は国際的に高く評価され,gold standard的な治療法として採用されているものもあります。
 基礎研究としては関節軟骨の再生医療に関する研究を行い,細胞の足場材料を本道で大量に採取される甲殻類から開発利用することに成功し,現在ヒトへの臨床応用の最終段階に到達しています。
 また,整形外科領域の代表的疾患である骨粗鬆症,変形性関節症,関節リウマチらの病態を糖鎖工学的手法により解明し,新規治療法の開発を行っています。
 昨年,約7,000名の整形外科医が参加した日本整形外科学会学術総会を開催し,また,北海道知事賞,北海道医師会賞を受賞しています。
 道内の基幹病院の整形外科医を通じて本道の整形外科医療の発展と道民生活の向上に貢献し,中央では日本整形外科学会の重要な役職を務め,また,日本手の外科学会の理事長として活躍しています。

(医学研究科・医学部)


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