総合博物館は,この4月に北海道大学大学院先端生命科学研究院の教授として赴任された水波誠教授から,無脊椎動物中枢神経系標本合計48点の寄贈を受けました。水波氏は平成14年に本学電子科学研究所から東北大学へ転出され,この度7年ぶりに北大へ戻られました。
平成18年3月から5月,日本科学未来館は特別企画展「脳!内なる不思議の世界へ」を読売新聞社などの主催で開催しました。この展覧会は,長崎歴史文化博物館,名古屋市科学館,大阪歴史博物館の3館を巡回しましたので,御覧になられた方もいらっしゃるかも知れません。実は,そこに展示された無脊椎動物の脳を含めた中枢神経系全体の標本のすべてを,水波氏は当時の東北大大学院生たちと作成されたのだそうです。
水波氏は,これらの展示標本を大切に保管され,この度北大へ戻られる機会に,東北大学総合学術博物館ではなく北大総合博物館へ寄贈すべく,札幌まで引っ越し荷物と共に運んでこられました。我々は大いに感謝いたしております。
寄贈された標本は写真にあるように,黒色プラスチック板にピンで留めた中枢神経系全体の標本をアクリルの水槽中に固定液と共に封じ,さらにその水槽をアクリルの箱に収めた二重構造になっています。照明をうまく当てると黒色プラスチックを背景に白い中枢神経系が浮かび上がり,非常に美しいものです。寄贈された48点は,シャコやザリガニ,カブトムシなどの節足動物が多く含まれていますが,その他,ユムシやゾウアメフラシ,ナメクジなど,中枢神経系を取り出すのが難しく,専門家でさえ,これまで観察したことがないような貴重な標本が含まれています。近々,これらの標本を館内に展示する予定です。「無脊椎動物にも脳がある」というと,一般の方々は大変驚かれるのですが,標本を見れば,無脊椎動物にも小さくても精巧な脳があることを納得してもらえるでしょう。どうぞご期待ください。 |
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水波誠教授より「無脊椎動物中枢神経系標本」の寄贈を受ける館長 |
寄贈された標本の一部 |
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(総合博物館) |
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