北海道大学総合博物館は平成11年に創設され,本年で創設10周年を迎えます。10周年記念の催しとして,企画展示,サテライト展示,セミナー等,もり沢山のイベントが予定されています。その一つとして企画展示「生物多様な部屋−北大の分類学の系譜−」が8月1日(土)から9月27日(日)まで総合博物館3階企画展示室において毎日9:30〜16:30に開催されています。毎週月曜日が休館日ですが,月曜日が祝日の場合は翌日が休館となります。ただし,8月3日(月)と9月21日(月)は臨時開館,9月13日(日)と9月24日(木)は臨時閉館いたします。皆様のお越しを総合博物館関係者一同お待ち申し上げております。 |
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岡田理事・副学長の祝辞 |
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7月31日(金)10:00,「生物多様な部屋−北大の分類学の系譜−」のオープニングセレモニーが開催されました。佐伯浩総長代理の岡田尚武副学長のご挨拶に始まり,3階の企画展示室前でのテープカットに続いて,内覧会が催されました。当日の模様は北海道放送HBCテレビの夕方のニュース番組で6時半頃放映されましたので,ご覧になった方もいらっしゃると思います。番組でも触れておりましたが,本企画展示はこれまで総合博物館で開催された企画展示とは少々異なっておりますので以下に説明させていただきます。
本企画展示は,総合博物館のバックヤードに現在所蔵されている多様な生物標本を,北大の分類学研究者の研究史と関連づけて展示するものです。つまり,この10周年企画展示の主役は生物標本です。理学研究院由来の無脊椎動物と藻類,恐竜や珊瑚の化石および微化石,農学研究院関連の哺乳類や昆虫類,および陸上植物と菌類,そして水産科学研究院の魚類など,様々な標本を,乾燥,液浸,さく葉,骨格,剥製,毛皮,プレパラート等々,多様な保存形態のまま,戦前に制作されたレトロなガラス標本棚にところせましと並べ,それらの生物群を研究した研究者を文章パネルと写真で紹介します。本展示の目的は,北海道大学が札幌農学校以来掲げている4つの基本理念のうち,「フロンティア精神」と「実学の重視」の2つに合致し,その伝統と実績を誇る分類学研究の系譜を知っていただくことです。そして,博物館の第一目的が「標本の保存と継承」であることを理解していただき,さらには,分類学の意義を考え,地球上の生物多様性のすごさを垣間見ていただこうという欲張りな展示です。
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展示室の内部
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本展示は以下2つの点でこれまでにない新しいものであると自負しております。第一に,展示室を暗くした点です。入室者には懐中電灯を手に部屋に入っていただき,展示物を照らしてご覧いただくわけです。こうすることで,探検気分を味わいながら,展示物と一対一で対面し,じっくりとその細部までご覧いただこうという趣向です。第二に,上記各分類群グループから数名ずつの現役大学院生を選び,彼ら自身に自分たちがハマッた分類学および対象とする分類群を展示してもらうというものです。彼らの展示を通じて,現在進行形で分類学を研究している若者たちの生の声を聴くことができるでしょう。
開幕初日の2月1日(土)13:00からは,総合博物館1階「知の統合コーナー」で「北大の分類学の系譜」と題する講演会が開催されました。演題と講演者は以下の通りです。「札幌農学校〜北大における植物分類学研究の系譜」(総合博物館教授・高橋英樹),「北海道大学における昆虫学の系譜」(総合博物館准教授・大原昌宏),「北大の魚類分類学の系譜」(総合博物館助教・河合俊郎),「北大古生物研究の系譜」(北大名誉教授,総合博物館資料部研究員・加藤誠),「北大における藻類分類学の系譜」(北大名誉教授,総合博物館資料部研究員・増田道夫),「理学部における無脊椎動物の分類学の系譜」(総合博物館館長・馬渡駿介)。
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講演する河合助教
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講演する大原准教授
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なお,8月28日(金)午後には,講演会「分類学の伝統を継承する若者たち(仮題)」を開催し,分類学を研究している大学院生10人ほどに,分類学にハマッた理由を話してもらいました。そして,9月25日(金)から27日(日)の3日間は,北海道大学総合博物館1階「知の統合コーナー」で大学院生に加えて学部学生たちの分類学に関する研究発表ポスターを展示し,学内外の方々に「ベストポスター賞」を選んでいただきます。9月27日の最終日には,ポスター賞の授賞式を行い,展示を終了いたします。これらのイベントにもたくさんの方々が参加していただけますよう,総合博物館関係者一同心から願っております。
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(総合博物館) |