スラブ研究センターで新学術領域研究の国際シンポジウム開催 |
7月9日(木),10日(金)に新学術領域研究「ユーラシア地域大国の比較研究」(領域代表者 田畑伸一郎)の国際シンポジウムを,2009年度スラブ研究センター夏期国際シンポジウムを兼ねて開催しました。本領域研究は昨年11月に採択されたもので,今回は,初めての国際シンポジウムとなりました。このシンポジウムは,本領域研究のなかの計画研究「持続的経済発展の可能性」(研究代表者 上垣彰・西南学院大学教授)を中心に組織されたものです。
全体のテーマは,「地域大国と持続的発展の可能性」で,マクロ経済,エネルギー,環境,格差と貧困,長期経済発展の5つのセッションが設けられました。ロシア,中国,インドおよびその他の地域大国が,今後国際社会のなかでどのような位置を占めていくのか,現在の地域大国としての地位は今後も持続可能であるのかについて,マクロ経済,エネルギー,環境,格差と貧困という4つの基本視角から検討することを目的としました。本領域研究は,研究開始から,まだ7カ月ほどしか経過していませんが,当初意図していたようなユーラシアの地域大国の2つあるいは3つを取り上げて比較するような研究がいくつか発表されたことは大きな収穫でした。そのような中で,各国のデータを比較可能な形でどのように整理していくのか,分析の結果明らかになった各国の違いをどのように解釈していくのかなど,今後の課題も明瞭になりました。
以上のような経済関連のセッションに加えて,インド,パキスタン,アフガニスタンの国境地域の問題を扱ったセッションも設けられ,これら3カ国から招かれた3人の研究者と日本人討論者,フロアーの間で熱のこもった議論が展開されました。
今回のシンポジウムには,海外から10人の研究者が招聘されました。その内訳は,南アジア(インド,パキスタン,アフガニスタン)が5名,東アジア(北京,香港)が2名,ロシア,フィンランド,英国が各1名でした。スラブ研究センターで行われた国際シンポジウムにおいて,スラブ・ユーラシア地域からの招聘者がたった1人であったというのは,おそらく初めてのことです。今回の新学術領域研究の特徴を象徴的に示すことですが,スラブ研究センターでは,これからしばらくはこの傾向が続くと見られています。
今回の国際シンポジウムは,改修後のスラブ研究センターの建物で初めて行われた大きな催しでした。参加者は,111名に達しました。改装された大会議室内では,演壇の背後にスラブ研究センターのロゴの入ったボードが立てられ,また,常時,セッションの進行が室外のスクリーンにも映し出されるなど,新しい試みもありました。大会議室横のレセプション・スペースも,受付や展示,コーヒー・ブレークの歓談などに,有効に使われました。 |
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レセプションで挨拶する岡田理事・副学長
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講演するインドの研究者 |
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(スラブ研究センター) |
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