第4回北海道大学教育GPセミナー「知られざる北海道写真の展覧会を作る−北大総合博物館水産科学館の資料を利用した学生の試み−」開催 |
総合博物館では,7月25日(土)に,1階「知の交流」コーナーにおいて,文学研究科の谷古宇尚准教授を講師に迎え,北大函館キャンパス内にある水産科学館所蔵の「疋田写真」を研究し,展覧会を準備する大学院生・学部生の活動を紹介しながら,北大総合博物館の資料を利用した学生の試みについて講演していただきました。
まず,疋田豊治氏のガラス乾板写真を用いた展覧会の制作に取り組むことになった経緯について説明いただき,続いて,「北海道開拓写真」と対比しながら,北大函館キャンパス内にある水産科学館に所蔵されている疋田豊治氏の撮影による約6,000点にも及ぶガラス乾板写真とその資料的価値についてご紹介いただきました。その後,「長亀に乗る疋田豊治」をはじめとした数々の「疋田写真」や,疋田豊治にまつわる多様なエピソードなどともに,シシャモの学名の命名者で,カレイの研究者としても知られ,明治末から昭和初期まで水産学部で教鞭をとった疋田豊治氏の経歴と人物についてお話しいただきました。また,「疋田写真」については,その歴史資料としての価値もさることながら,写真そのものに見られる構図や被写体の形態の面白さ,疋田氏の遊び心などについての解説もなされました。最後に,ゼミの様子や展示物,展覧会の準備,さらに展覧会を作ることの意義や芸術学講座が主体となって取り組むことの意義などについて話していただきました。
参加した方々にとっては,眠ったままになっている貴重な資料を知る有意義な講演であり,スクリーンに映し出される数々の「疋田写真」に見入りながら,「疋田写真」が生まれた背景とそれらを撮影した疋田豊治という人物についての話に熱心に耳を傾けていました。質疑応答では,「利用できるよう整理してほしい」,「出版して,公開してほしい」といった熱の入った要望が出されていました。一方,総合博物館のスタッフにとっては,資料を整理し,広く活用されるよう保管するという,博物館がなすべき重要な役割が未だ十分ではないことを再認識させられる講演でもありました。 |
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セミナーの様子
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講演する谷古宇尚准教授
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(総合博物館) |
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