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林善茂名誉教授関係資料を大学文書館で受贈

 8月26日(水),大学文書館では,林善茂名誉教授から所蔵資料を寄贈いただきました。
 林善茂名誉教授は,1922(大正11)年小樽に生まれ,1938(昭和13)年北海道帝国大学予科農類に入学し,農学部農業経済学科に進学して中島九郎教授に師事しました。1943(昭和18)年卒業後は大学院特別研究生を経て農学部助手に就任,助教授に昇任した後,1953(昭和28)年に新設の経済学部に高倉新一郎教授と共に移られ,1963(昭和38)年に教授となられました。この間,「アイヌ原始農業の研究」(1962年)で農学博士号を取得され,『アイヌの農耕文化』(1969年)を刊行されました。このほかに,北海道開発史・農業経済史の研究を進められ,旧尾張藩徳川家が投資し家臣団を入植させて開設した八雲町の徳川農場の形成史・経営史などを研究されました。また,北海道庁が編纂した『新北海道史』の編集・執筆にも力を尽くされました。経済学部では主に北海道経済史を講義され,退官後も名古屋商科大学で教鞭を執られました。
 この度,受贈した資料は,北大関係の刊行物,学生時代の受講ノート,農学部・経済学部教員時代の講義原稿・学生出欠簿・学生レポート,自筆の論文原稿など2箱です。
 たとえば,学生時代の上原轍三郎講義「植民学」の受講ノートは,東大と共に「植民学」の二大潮流であった北大植民学の戦時期の動向を示す貴重な資料です。

 
受講ノートと研究原稿
受講ノートと研究原稿
 

 また,敗戦直後の自筆の講義原稿は,余白に「貧しくて腹へらしつゝ講義案書き上げし今日を思ふ日あらむ」と歌を書き込まれており,紙質の悪さと共に時代の雰囲気を色濃く感じさせる資料です。

 
講義原稿
講義原稿
 

 受贈資料は,大学文書館において整理して大切に保管し,沿革資料として活用いたします。

 
(大学文書館)

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