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総合博物館でパラタクソノミスト養成講座を開催

 パラタクソノミスト養成講座は,平成16年より,学術標本やサンプルを正しく同定し,整理する能力を有し,環境調査・教育において必要とされる人材である「準分類学者(パラタクソノミスト)を養成することを目的に開催しており,昨年度の後半からは北海道教育GP「博物館を舞台とした体験型全人教育の推進」のもとで開催してきました。今年度の上半期には,計13講座の開催がされ,10月からの下半期にも,計13講座が開催される予定です。9月には下記の日程で,キノコパラタクソノミスト養成講座(初級)を開催しました。受講者は,慣れない道具や専門用語に戸惑いながらも,講師の指導を受けて熱心に取り組んでいました。

 
キノコパラタクソノミスト養成講座(初級)
解説する小林講師  9月19日(土)に,北海道大学総合博物館の資料部研究員の小林孝人氏を講師に迎え,総合博物館を主会場に開催されました。まず,総合博物館教授の高橋英樹先生からのあいさつ,講師の紹介があり,次に,できたばかりのテキスト「パラタクソノミスト養成講座 キノコ(初級・中級)ハラタケ目編」についての説明がありました。その後,キノコとは何かについての講義を受け,ロバート・ホイタッカー(Robert H. Whittaker)の5界説から,土居祥兌(1989)の生物の大分類を経て,マネー(Nicholas P. Money)(2007)の生物の大分類に至るまで,卵菌類などがどのような生物学的位置に置かれてきているかなどについて説明を受けました。また,遺伝子から得られる情報から生物を分類する分子系統的に見た菌類の生物学的位置についても学びました。講義の後,北大の菌類標本庫(SAPA)を見学し,宮部金吾や今井三子の菌類標本を見学しながら,キノコの断面図,味,におい,色(水酸化カリウム(KOH)をかけたときの色の変化など),傘・ヒダ・柄・肉などをそれぞれ観察する方法を学び,どのような特徴によってキノコを見分けるのか,名前を知ることができるのかなどについて教わりました。
 午後からは,北大のキャンパスにキノコ採集に出かけ,大野池周辺などで様々なキノコを採集しました。採集後,館内に戻り,顕微鏡を用いた観察実習を行いました。講師が受講生1人1人に作成したキノコの断面を渡し,それをスライドガラスに載せ,カバーガラスを上にかぶせ,プレパラート標本を作成しました。その後,顕微鏡の使い方についての説明を受け,作成したプレパラート標本を観察し,現地シート(キノコの特徴を書く紙)を記入しました。また,使用すべきペンの種類など,書き方の説明を受けながら,標本ラベルの作成も行いました。
解説する小林講師
野外採集に取り組む受講者
野外採集に取り組む受講者
キノコの同定に取り組む受講者
キノコの同定に取り組む受講者
 
(総合博物館)

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