池田文人准教授(理学院自然史科学専攻/高等教育機能開発総合センター)を講師に迎え,4回シリーズの公開研究会「フィンランドの『教えない教育』」が始まりました。池田先生には,本年8月に開催された第5回教育GPセミナー「フィンランドの教えない教育―世界を創る対話の力―」でご講演いただきました。公開研究会は,ご好評をいただいたGPセミナーの続編とも言えますが,参加者との「対話」を重ねることをより目指して企画されました。
10月17日(土)に開催された第1回「フィンランドの教育とムーミン物語」ではまず,ムーミン物語の作者トーベ・ヤンソンの紹介と,物語の成立過程の説明をしていただきました。次に,9作品から成る物語のなかでも人気の高い『たのしいムーミン一家』のあらすじを追いながら,他者と関わりながら自己のなかにある「対照性」を解消することで個人の自立を目指すという,フィンランドの教育の重要な視点を解説していただきました。そして,フィンランドの小中学校の授業の具体例をご紹介いただきながら,多様性の涵養により個を尊重すること,表現や行動の自由を認めること,他者との相互作用を推進することで,個の自立が目指されていることを講義していただきました。
研究会の後半は,フィンランドの教育システムや教科書の構成,評価の視点,ムーミン物語の原作と日本のテレビアニメの比較などについて,参加者から次々に質問が寄せられ,ムーミンのネクタイを締めた池田先生と参加者との和やかな対話の時間となりました。 |