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総合博物館でパラタクソノミスト養成講座を開催

 総合博物館では,平成16年より,「準分類学者(パラタクソノミスト)養成講座」を開講しており,各講座修了者に「準分類学修了証」を発行しています。9月,10月には下記の日程で,岩石・鉱物パラタクソノミスト養成講座(初級)と岩石・鉱物野外採集会を開催しました。

 
1.岩石・鉱物パラタクソノミスト養成講座(初級)
 9月26日(土)と27日(日)の両日,当館資料部研究員の在田一則氏(岩石)と大学院理学研究院講師の三浦裕行氏(鉱物)を講師に迎え,総合博物館において開催されました。昨年同様,たくさんの応募があり,選考の結果,定員の2倍近くの参加者を迎え,会場をめいっぱい使っての開催となりました。
 
在田講師と参加者 三浦講師と参加者
在田講師と参加者 三浦講師と参加者
 
 1日目の午前中は,在田先生による岩石についての講義が行われました。「鉱物」や「岩石」といった専門用語の解説や,地球の生い立ちや内部構造,岩石が作られる場所についてなど,岩石を深く知る上で必要な基礎知識についての説明がありました。
 午後からは,三浦先生による鉱物の定義や分類についての講義が行われました。鉱物の定義や分類を交えながらの解説があり,また,肉眼鑑定をする際の手がかりとなる道具の使い方や,それぞれの鉱物の特徴などについても説明していただきました。その後,博物館内を見学し,館内のさまざまな場所に展示されている岩石や鉱物について,それらを実際に見ながら,それぞれの岩石や鉱物の特徴,産状などともに説明していただきました。
 2日目は,参加者をA班とB班の2つの班に分けて,グループごとに午前と午後で岩石と鉱物の実習が行われました。岩石同定実習では,在田先生の指導の下,岩石のでき方や特徴,含んでいる鉱物などについての講義と,たくさんの岩石や鉱物を肉眼やルーペで観察し,実物を見ながら,さまざまな岩石の特徴をつかむ実習を行いました。鉱物の肉眼鑑定実習では,三浦先生の指導の下,20種類の鉱物が用意され,参加者は,それぞれ,準備されたルーペなどの道具を用いて観察し,鉱物の特徴が書かれた一覧表の中から該当する鉱物を選び出す,肉眼鑑定の実習を行いました。
 
2.岩石・鉱物野外採集会
 10月10日(土)と11日(日)の両日1泊2日の日程で,当館の松枝大治教授を講師に迎え,夕張市,上士幌町(勢多鉱床),置戸町,生田原町,紋別市(鴻之舞金山),士別市ほかにおいて野外採集会が開催されました。
 
雨の中熱心に解説を聞く参加者 赤岩青巌峡下流にて採集に取り組む参加者
雨の中熱心に解説を聞く参加者 赤岩青巌峡下流にて採集に取り組む参加者
 
 1日目は天気に恵まれ,絶好の採集会日和となりました。各目的地に到着すると,参加者はハンマーを片手に石を割り,内部を肉眼あるいはルーペを使って観察し,先生に質問をしながら目的の岩石や鉱物を採集しました。足寄動物化石博物館ではデスモスチルスの化石などを見学し,参加者は松枝先生に質問をしながら見学を楽しみました。
 2日目は一日目とは一転し,雨の中での採集会となりましたが,午前中の採集地である生田原公園や鴻之舞鉱山では,参加者は,雨具に身を包みながらも,熱心に岩石採集を行っていました。
 昼食後は,鴻之舞鉱山資料館にて,資料館の方による解説を聞きながら,展示されている開拓資料や鴻之舞鉱山資料の見学を行い,その後,岩尾内湖に移動し,斑レイ岩,リチア電気石,角閃石などの採集を行いました。この頃には雨も止み,参加者は楽しみながら採集を行うことができました。
 
(総合博物館)

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