北大教育GP主催公開研究会「フィンランドの『教えない教育』」開催 |
第2回公開研究会「フィンランドの『教えない教育』」が,第1回に引き続き,大学院理学院自然史科学専攻/高等教育機能開発総合センターの池田文人准教授を講師に迎え,「物語(ナラティブ)としての学び」と題して,11月21日(土)に総合博物館1階「知の交流」コーナーにおいて開催されました。
今回は,まず,前回の復習をかねて,スナフキンを主人公とした「春のしらべ」という短編の紹介と解説がなされ,スナフキンの作曲した歌の構造と物語の構造がパラレルになっており,この物語は,「他者との積極的な関わりを通じて確固たる自己を確立する」ことを伝えようとしている,ということを池田先生の解釈を交えながらお話しいただきました。そして,フィンランドの教育が,多様性の涵養により個を尊重すること,表現や行動の自由を認めること,他者との相互作用を推進することで,個の自立が目指されていることを復習しました。
次に,北大の前期試験の物理の問題とフィンランドの国語・算数・理科の教科書を例として,前者は,本質に着目し,問題を細かくしてゆけば,複雑な問題も解決できること,すなわち,「科学技術のススメ」をメッセージとして発信しており,一方,後者は,すべてのものは構成化され(社会構成主義),物語によって相対化されることをメッセージとして発信している,ということを説明していただきました。フィンランドの教育には,すべてに因果関係があり,流れがあり,起承転結(物語)があり,知識とは構造・修辞・比喩・対話を持った物語であることを教えていることを説明いただきながら,多様な環境に自らをおくことが重要であり,自分だけの物語(知識)を形成し,他人の物語(知識)を寛容することで,強い社会を実現することが,フィンランドの教育からのメッセージであることを講義していただきました。
池田先生からの話題提供の後,参加者からは,フィンランドの教育と日本の教育を比較しての意見や質問が多く寄せられたほか,現教職者や元教職者から現場の実情を交えた質問や意見も出され,活発な議論が展開されました。 |
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池田先生による講演 |
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(総合博物館) |
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