国際原子力機関(IAEA,ウィーン,事務総長/天野之弥)の主催で国際核反応データセンターネットワーク(NRDC)技術会議が,4月21日(水)〜23日(金)にかけて,北海道大学大学院理学研究院附属原子核反応データ研究開発センター(JCPRG,札幌市北区,センター長/加藤幾芳)にて開催されました。
本ネットワークは,加速器や原子炉などで取得される原子核反応に関する実験データを平和利用するために全世界で交換することを目的に作られた国際協力組織であり,冷戦時代を経て今日に至るまで40年以上に渡って活動を続けてきました。これまでに,およそ18,000件の実験で取得された実験データをEXFORという公開データベースへ収録し,原子力分野や医療分野はもとより,原子核物理や宇宙核物理などの基礎学術分野に至るまで,世界中で広く利用されています。
関連する諸問題を議論する場として,毎年,米国・フランス・オーストリア・ロシア間で交互に本会議が開催されてきましたが,日本での開催は今回が初めてでした。会議前週末のアイスランドの火山噴火にも関わらず,欧州からの参加者の欠席は2カ国(スロバキア,ハンガリー)に留まり,7カ国(インド,ウクライナ,韓国,中国,日本,米国,ロシア)と2国際機関(IAEA, OECD)から関係者が集まりました。会議日程は当初の4日間から3日間に縮小されたものの,予定されていたほぼ全ての議題が処理されました。
会議は,初日の加藤センター長とRobin Forrest IAEA核データ課長の挨拶に始まり,核データの収集と流通に関する現状分析と方針策定を行うとともに,データの国際間での交換に関する様々な技術的課題が原子核物理学や情報科学の観点から議論されました。米国によるデータ公刊雑誌出版国別の収集分担への移行の主張が今回の最も大きな議題でしたが,今回の会議では従来通りデータ測定国別の収集分担を続けることで合意を得ることができ,ここ5年来の懸案が解決しました。これにより,データ収集活動に関する各国の研究者とデータセンターの密な協力関係が今後とも維持されることが期待されます。
なお,日本では,北大理学部を中心とする「日本荷電粒子核反応データグループ」が日本国内の加速器施設で測定された実験データを一括収集し,IAEAを経て各国の研究者に提供し続けてきました。この国際協力をより安定して継続させたいIAEAからの要請を受け,2007年4月にそれまでのグループが北大の附属組織として再編され今日に至っています。今回の会議の結果,わが国の加速器などで取得されたデータは,引き続き当センターが収集責任を負うこととなりました。 |