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農学部応用菌学講座・「半澤式納豆」関係資料を大学文書館で新たに受贈

 5月15日(土),大学文書館では,農学部応用菌学講座関係資料69点を,同講座において第2代教授佐々木酉二に師事された佐々木博氏,堀田国元氏から新たにご寄贈いただきました。
 この度,受贈した資料は,佐々木博氏,堀田国元氏が「近代納豆の幕開けと応用菌学」の執筆にあたり,参考資料・文献とした応用菌学講座の沿革資料です。佐々木酉二教授の記念誌(『わが心の微生物』1993年,『縁の下の力持ち』1998年)のほか,応用菌学講座の初代教授半澤洵(1878−1972,札幌農学校第19期生)が推進した「半澤式納豆」にまつわる一次資料が豊富です。
 
納豆容器改良会日誌・会員名簿・日記
納豆容器改良会日誌・会員名簿・日記
 
 半澤洵は,1918(大正7)年から,稲藁付着菌に依存した自然醗酵による不衛生な納豆製造法ではなく,純粋培養した納豆菌による科学的・衛生的な納豆製造法の普及に尽力しました。半澤洵の理念のもと,応用菌学講座では納豆菌の純粋培養に取り組み,大豆が配給制となった戦時中まで国内をはじめ中国・ブラジル等へも納豆菌の頒布を続けていました。
 受贈した資料には,@半澤洵が収集した「半澤式納豆」の広告記事・チラシ・納豆包装紙,A衛生的な納豆容器として経木の利用を推進した「納豆容器改良会」(1919年創設,会長半澤洵)の日記・日誌・会員名簿・会計簿,B納豆容器改良会機関誌『納豆』,C半澤洵手稿「納豆の容器を速かに改良すべし」(1920年)などがあります。
 
半澤式納豆のチラシ「納豆の歌」
半澤式納豆のチラシ「納豆の歌」
 
 @には,「これは学理の応用で 圧力釜で豆を煮て 無菌の室に取り入れて 納豆菌をよくまぜる 藁を少しもつかはずに きれいな折に詰めこんで 電熱器をば設けたる 室の中にあたためる」と半澤式,納豆製造法を説明した「納豆の歌」(南部鐵太郎作歌)が印刷されたチラシもあります。このチラシには,半澤洵が歌詞を朱筆添削した跡も残っています。
 今後,受贈資料については,大学文書館において大切に整理・保管し,沿革資料として研究・教育活動に幅広く活用いたします。
 
(大学文書館)
 

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