5月17日(月),大学文書館では,田邊至油彩画1点を,梁田政方氏からご寄贈いただきました。受贈した油彩画(23×31cm,板)は,1913(大正2)年,田邊至が梁田政輔氏(政方氏の祖父,北海道庁長官官房属)のために,第二農場のモデルバーンを描いて贈ったものです。油彩画の右下には,下記のサインが記されています。
To Mr. Yanada
I. Tanabe
1913.
田邊至(1886−1968)は,1904(明治37)年東京美術学校西洋画科に入学し,黒田清輝に師事しました。1910(明治43)年同校卒業後は研究科に進学し,1911年には同校助手となり,助教授(1919年〜),教授(1924年〜)と昇任し,1944(昭和19)年まで母校で教鞭を執り続けました。
また,田邊至は,北大黒百合会とも非常にゆかりの深い画家でした。草創期の黒百合会では,有島武郎が,中央画壇から指導的作品を「参考品」として取り寄せることを企画しました。第5回黒百合会展覧会(1912年10月)では,田邊至が「参考品」として油彩画「停車場の夕」を出品しました。その後も,田邊至は黒百合会への出品を続けました。その功績について,能勢眞美(1897−1982)は,「田邊,有島両氏の黒百合会出品は,黒百合が其の後年々いゝ参考品をもつて来る機縁となりまして札幌の画壇にとつては実にありがたいことになつたのでありました」と回想しています(『黒百合会回顧録』1931年,91頁)。
今後,大学文書館では,受贈資料を大学沿革資料として大切に保管するとともに,展示等により活用いたします。 |
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田邊至油彩画(1913年筆) |
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(大学文書館) |
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