総務部広報課広報・渉外担当 伊 藤 仁 浩 |
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平成21年4月から平成22年3月までの1年間,民間企業派遣研修生として株式会社電通本社で研修しましたので,以下のとおりご報告いたします。 |
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◎研修の概要
私が参加した研修は,株式会社電通が企画する「地域コミュニケーション戦略プロデューサー塾」です。これは,単なる広報業務スキルの習得ではなく,21世紀の地域経営とコミュニケーションのあり方を共に模索し,コミュニケーションの力を活かして地域の課題,プロジェクトに取り組む「地域コミュニケーション戦略プロデューサー」の育成を目指すという内容です。
主に地方自治体を対象にした研修ですが,平成17年に北海道大学と株式会社電通北海道が包括連携協定を締結したことを受け,専門性の高い広報担当者を育成し,国立大学法人としてよりよい広報体制づくりを図っていくことを目的として,平成17年度から毎年電通本社に1名を派遣しているもので,私で5人目となります。
研修生は私のほか岡山大学,岡山県庁,香川県庁,愛媛県松山市役所,福岡県福津市役所,防衛省陸上自衛隊,防衛省海上自衛隊からの7名でした。 |
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電通本社ビル |
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◎1年間のスケジュール
○4月から5月
広告の基礎能力を身につけるため,2か月間の集合研修を行いました。広告業界の知識から始まり,広告会社の仕組み・流れ・業務や,テレビ・新聞・ラジオ・OOH(交通・屋外広告)といった各媒体の広告の特徴などを学びました。様々な課題が与えられ,個人やチームでのプレゼンテーションを行う場面もありました。 |
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○6月から12月
広告会社の実務を習得するため,営業局に配属されました。私はあるカメラメーカーの担当となり,新商品の広告制作,発表記者会見,発売後の様々なプロモーションイベントに参加させていただきました。また,主催・協賛する写真大会やプロゴルフトーナメントの運営に携わり,幅広い業務体験をしました。
毎週水曜日の午後は引き続き集合研修があり,より具体的なテーマが与えられました。例えば,ガムのCM絵コンテ,和菓子のキャッチコピー,ハワイへの観光客誘致キャンペーンなど,難題も数多くあり,その製作に頭を悩ます日々が続きました。 |
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集合研修の様子 |
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○1月から2月まで
3月の研修報告に向け,各研修生が個人課題資料作成のため,希望する部署に配属されました。私はマーケティングの部署で「ターゲットに対してどのようにメッセージを伝えるべきかの方向付け」を専属トレーナーや部のスタッフと一緒に検討しました。
同時に携帯電話や薬品会社メーカーの企画コンセプト会議にも参加し,競合プレゼンテーションの生の現場に立ち会うことができました。 |
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○3月
「道外受験生を狙った対外的なコミュニケーションのご提案」と題して,電通社内と本学で発表をし,意見交換をしました。これは道外,特に都市部の受験生に向けて,「北大へ行くことは留学である」と定義し,北海道ブランドを生かした研究内容を様々な施策を通じて知らせ,本学に興味を持ってもらうための企画でした。
19日に修了式があり,1年間の研修を終えました。 |
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電通社内・社外合わせて300人ほどの皆様から講義を受け,新入社員でも経験できない,会社の隅々まで知る貴重な経験ができました。目まぐるしく変わる環境は,緊張感がとれない苦しい毎日でしたが,今となればどの場面も大切な思い出です。今後は本学の民間企業派遣研修生同士が協力し合い,大学に恩返しすることが目標です。
本研修を受講させてくださいました北海道大学,電通北海道,電通本社及び多くの関係者の皆様に御礼申し上げます。 |
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電通社内での最終プレゼンテーション |
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◎誰にでもチャンスがある民間企業研修
民間企業派遣研修に応募すること。手を上げるきっかけはそれほど難しいことではありません。受験生・地域住民・研究者・観光客・民間企業など(ステークホルダー)に対して,本学はこうするべきだという思いがあれば,それが動機になります。また,現在の業務が広報に直接関係がなくても障害になりません。
注意するべき点は,それぞれのステークホルダーに対して,本学がどのような道を選び,ゴールに向かっているのか現状を理解することです。北海道大学代表で参加している研修生に,講師は当たり前のように質問してきますし,最後の本学での発表で的外れな企画を提案する可能性があるからです。実際,私は肝心の部分がぽっかり抜けており,大変苦労したというよりも答えられない恥ずかしさでいっぱいでした。施設系の技術職員歴が長かったというのは理由にはならず,単に事前調査不足だったと反省しました。
この研修の最大の特徴として人前での自己紹介,パワーポイントを使用したプレゼンテーションの数の多さが挙げられます。講師や配属部署,時には100人を超える前で話さなくてはいけません。最初の頃は慣れない状況が続きますが,経験を積むことによって鍛えられていきます。
広報の習得だけではなく,民間企業のルールを知り,社会人として鍛え直される民間企業派遣研修。終了後も他の研修生や電通社員とのつながりは続きます。電通本社への研修制度があるのは全国の大学で現在は本学のみですので,募集通知があればぜひご検討ください。疑問や心配事などがあれば,お気軽にご相談ください。 |
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修了式後の集合写真 |
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