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初代総長 佐藤昌介の墨蹟を大学文書館で新たに受贈

 10月1日(金),大学文書館では,故 中島九郎名誉教授(1886−1959)のご息女である越山澄子氏から,初代総長 佐藤昌介の墨蹟を新たに寄贈いただきました。墨蹟は,佐藤昌介(1856−1939)が1936年春に揮毫し,愛弟子の中島九郎教授(当時は農政学講座担任)に贈呈したものです。
 墨蹟の漢詩は下記のとおりです。
 
 [関防印]菁菁者莪
  塞北塞南多少家 牛羊濯々夕陽斜
  平原放眼幾千里 一望高粱帯翠霞
    丙子之春録旧作北満所見 琢堂
     [白文印]佐藤昌介[朱文印]琢堂

 関防印の刻字は『詩経』小雅「菁菁者莪(せいせいしやが)」を出典とし,青々と茂ったよもぎを意味しています。
 漢詩の訓読は以下のとおりです。

佐藤昌介墨蹟(1936年揮毫)
 
   塞北塞南(さいほくさいなん) 多少(たせう)の家(いえ)
   牛羊濯々(ぎうやうたくたく)として 夕陽斜(せきやうななめ)なり
   平原放眼(へいげんほうがん)すること 幾千里(いくせんり)
   一望(いちぼう)の高粱(かうりやう) 翠霞(すいか)を帯(お)ぶ
    丙子(へいし)の春(はる) 旧作(きうさく)の北満所見(ほくまんしょけん)を録(ろく)す
                                                 琢堂(たくだう)
 

 この漢詩は,「辺境地帯は,人家もまばらであり,牛や羊の群れに,夕日が差し込んでいる。幾千里も続く平原を見渡すと,コーリャン畑の彼方は霞んでいる」という大意で,佐藤昌介が満州旅行を述懐した自作のものです。
 漢詩の解読等については,(ゆはず)和順 文学研究科長(文学研究科中国文化論講座教授)にご協力いただきました。

 今後,大学文書館では,墨蹟を大学沿革史料(歴代総長史料)として大切に保管し,展示等により活用してまいります。

  佐藤昌介墨蹟(1936年揮毫)
 
(大学文書館)
 

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