訃報

名誉教授 田中  昇(たなか のぼる) 氏(享年80歳)

名誉教授 寺山 吉彦(てらやま よしひこ) 氏(享年88歳)

 名誉教授 田中 昇氏は3月4日,80歳で逝去されました。ここに生前のご功績を偲び,謹んで哀悼の意を表します。
 田中先生は昭和5年4月11日長野県飯田市に生まれ,昭和31年3月名古屋大学理学部数学科を卒業され,昭和33年3月名古屋大学大学院理学研究科修士課程修了の後,同博士課程に進まれ,昭和34年4月名古屋大学理学部助手,同36年4月同講師,同38年6月同助教授,同40年4月京都大学数理解析研究所助教授,同43年7月京都大学理学部助教授を経て同53年4月北海道大学理学部教授として着任され,平成6年3月定年により退官され,同年4月北海道大学名誉教授の称号を授与されました。その間,平成3年6月から同5年5月まで北海道大学評議員を務められました。
 この間,田中先生は,長年にわたって,微分幾何学の教育,研究に努め,特に微分式系に付随する幾何構造の研究において,数々の独創的な成果を上げ,その研究は,国際的に多大な評価を得ています。
 田中先生は,初期の研究において,射影および共形構造のカルタン接続を構成し,さらに非退化実超曲面のCR構造のカルタン接続を構成しました。田中先生は,これらの研究を契機に,微分式系に付随する幾何構造の同値問題を深く研究し,一連の論文を発表されました。これらの論文に於いて,微分式系に付随する幾何構造の延長の概念を確立し,さらに,単純階別リー環に付随する幾何構造に,カルタン接続を構成しました。これは,それまで存在した幾何構造の延長とカルタン接続の理論を統一するものであり,田中理論として,国際的に多大な評価を得ています。
 以上のように,田中先生は長きにわたり数学,特に微分幾何学の分野における多くの研究業績によりわが国及び世界の学術進歩に多大の貢献をなされました。
 ここに謹んで田中先生の御冥福を心よりお祈り申し上げます。

(理学院・理学研究院・理学部)


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