本学名誉教授 藤原 一氏は6月21日午前2時4分肺炎のため86歳で御逝去されました。ここに生前のご功績を偲び,謹んで哀悼の意を表します。
先生は昭和21年9月北海道帝国大学工学部を卒業された後,同大学院特別研究生を経て,昭和23年12月に北海道大学助教授,昭和38年4月には同大学教授に昇任し,昭和63年3月には停年により同大学を退職され,同年4月北海道大学名誉教授の称号を授与されました。また,同年4月北海道工業大学教授に就任し,平成4年3月に同大学を退職されました。
この間,同人は永年にわたって電気機械学に関する教育,研究に従事されました。特に電気機械学に関連する諸課題の中で理論的な解明が不十分であった,かご型誘導電動機の起動時における異常現象の解明,および新しい可能性を開く先駆的な研究課題である無整流子電動機に関する理論的検討,交流励磁形同期機に関する理論的検討などに対し,特に理論的な側面から研究を推進することにより成果をあげられ,昭和37年3月には北海道大学から工学博士の学位を授与されています。
電力用の半導体素子技術を用いた無整流子電動機に関する先駆的な研究では,無整流子電導機などの今日広範に使われるようになった交流可変速電動機の実用化に大きく貢献し,さらに,新しい可能性を持つ可変速交流発電機として交流励磁形同期機に着目し,その理論的研究及び開発研究を積極的に推進したことにより,その実用化に大きく道を切り開いたものとなりました。
以上のように,同人は,教育面においては多くの優れた人材を育成し,我が国の産業の発展に大きく貢献し,また,研究面において専門分野である電気機械学を中心とする学術研究上の諸活動を通して,我が国の関連学術,技術の発展に大きく貢献をなされました。これらの優れた業績および人材育成への多大な貢献に対し,平成16年11月に瑞宝中綬章を授与されました。
ここに謹んで先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
(工学院・工学研究院・工学部)
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