部局ニュース

グローバルCOEプログラム
「統合フィールド環境科学の教育研究拠点形成」主催
国際サマースクール2011を開催

 6月27日(月)から7月8日(金)にかけて,北方生物圏フィールド科学センター苫小牧研究林,静内研究牧場,生物生産研究農場(札幌キャンパス)を舞台に,グローバルCOEプログラム「統合フィールド環境科学の教育研究拠点形成」主催による国際フィールド科学サマースクール2011“Understanding coupled natural and social system; feedback loops between land-use and ecosystem change”が開催されました。
 本サマースクールは,博士後期課程の大学院生に将来における国際的・学術的国際プロジェクトを牽引できるような研究者としての能力を身につけてもらうことを目的としています。公募で選ばれた,アメリカ・ブラジル・ドイツ・韓国・ネパールなどからの海外の大学院生と,環境科学院及び農学院環境資源学専攻の大学院生をあわせて13カ国から18名が参加しました。海外からは31カ国から77名もの参加申し込みがあり,3回目を迎える本サマースクールが海外でも高く評価,認知されていることがうかがえました。本サマースクールがIGBP *1とIHDP*2のコアブログラムである全球陸域研究計画(Global Land Project:GLP)札幌拠点オフィスや,フィールド研究サイトの世界的ネットワークである国際長期生態学研究ネットワーク(ILTER)の共催であることも,国際的に高い関心を得ることができた要因だと考えています。

 サマースクールでの指導スタッフは北方生物圏フィールド科学センター森林圏及び耕地圏ステーションが中心となり,海外からの招へい講師として,米国・イリノイ大学のEvan DeLucia教授,同アリゾナ州立大学のMilan Shrestha講師,インドネシア・ボゴール農科大学のSundarsono Jayadi教授を迎え,講義や指導にご協力いただきました。また,米国・森林局でGLP国際科学委員であるMorgan Grove博士は都合により来日できなかったため,インターネット経由での講義を通じてご参加いただきました。
 今年度は「自然―人間システムの融合的理解」をテーマに,地球規模で経済や環境が変動していく中で持続可能な社会を築くには何が必要なのかについて議論しました。そして,本学がこれまで整備してきたフィールド施設,長期的な生態系モニタリングや教育研究のサポート体制を最大限に活用し,フィールドでの調査観測技術の習得,参加者による各自の研究のポスター発表,講義,グループ討論・発表などを行いました。
 具体的には,苫小牧研究林や静内研究牧場,生物生産研究農場のさまざまなテーマを対象としたフィールドセッションが行われ,参加者は各生態系においてどのような研究が行われているのか,その背景や調査・観測手法を学びました。またグループ討論では,人為撹乱や土地利用の変化と生態系サービスの関係について,4〜5人のグループに分かれて討論し,発表しました。最終日には,生態系変化が人間社会にもたらす影響や自然―人間システムの理解のために今後どのような研究が必要なのかについて,活発な議論が交わされました。
 プログラムを通じて参加者は積極的に,そして協力的に取り組みました。これらの経験は自身のスキルアップと参加者間の信頼関係構築につながりました。この交流が今後も続き,将来のフィールド環境科学における国際的連携や共同研究の発展につながることが期待されます。また今回は森林―牧場―農場と,北方生物圏フィールド科学センターの森林圏と耕地圏施設を横断した取り組みとなり,今後の学内での学際研究の一層の発展が期待されます。

*1 IGBP:国際地球圏生物圏協同研究計画
*2 IHDP:地球環境変化の人間的側面に関する国際研究計画

池のほとりでグループ討論する参加者(苫小牧研究林) 林内放牧される馬と一緒に林内で記念撮影(静内研究牧場)
池のほとりでグループ討論する参加者
(苫小牧研究林)
林内放牧される馬と一緒に林内で記念撮影
(静内研究牧場)

(環境科学院・地球環境科学研究院)


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