部局ニュース

ひらめき☆ときめきサイエンス〜ようこそ大学の研究室へ〜
「小樽の海は今!〜ゆたかな海の森をもとめて〜」を開催

 北方生物圏フィールド科学センターでは,7月30日(土)に日本学術振興会の支援を受けて,“ひらめき☆ときめきサイエンス〜ようこそ大学の研究室へ〜”を開催しました。これは,科学研究費補助金による研究成果(研究代表者:四ツ倉典滋)をもとに,大学で取り組まれている研究の一端に触れてもらうという児童・生徒へむけた体験型プログラムです。今回は小学5〜6年生を対象に,「小樽の海は今!〜ゆたかな海の森をもとめて〜」をテーマとして忍路臨海実験所で実施しました。
 参加者は27名で,地元小樽市や札幌市のみならず,石狩市や長沼町,遠くは日高の様似町からも集まりました。午前中は,「“海の砂漠化”が進む小樽の海の現状と,海の森(コンブの森)の保全について」の講義を行った後,参加者は小グループに分かれて磯船に乗り込み,箱メガネを使って実際に海の中を観察しました。海中一面に広がるサンゴモ平原とそこに暮らす多数のウニを目の当たりにして,“北海道沿岸の海の中”=“豊かなコンブの森”をイメージしていた多くの子供たちは驚きの様子でした。そのあとは磯を歩きながら,わずかに残るコンブの森の生態調査と環境測定,そして海藻採集を行いました。日ごろ磯では魚介類に目を奪われがちな子供たちも,この時ばかりは色鮮やかな海藻類を詳しく観察していました。
 昼食後は2班に分かれ,一方は午前中に採水した海水の分析作業を,もう一方は午前中採集した海藻の同定作業と押葉標本づくりを交互に課題としました。同定の結果,午前中のわずか1時間程度の磯歩きにもかかわらず23種の海藻が採集され,砂漠化が進行する殺風景な海中にも多様な海藻が生育していることが理解できました。なお,押葉標本は参加小学生の夏休み自由研究の提出用として丁寧に作製されていました。最後にまとめとして,「小樽の海の水質と,そこに暮らすさまざまな海藻類について」の解説を行い,参加者に“未来博士号”を授与しました。

 今回,船上から海の中を熱心に覗き込む子供たちの様子がとても印象的でした。コンブの森の保全にむけて,各自ができることを考えるよい機会になったのではないでしょうか。
 このプログラムは主催関係者の強いチームワークのもとで実施されました。当日の円滑な進行と,安全の確保にご尽力いただいた教職員,および大学院生諸氏に感謝いたします。

海藻の採集 海水の分析
海藻の採集 海水の分析
コンブとともに 標本の作製
標本の作製
コンブとともに

(北方生物圏フィールド科学センター)


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