部局ニュース

ひらめき☆ときめきサイエンス〜ようこそ大学の研究室へ〜
「体験!ベリー研究の最前線“君も育種家になろう!”」を開催

 北方生物圏フィールド科学センターでは,7月30日(土)に日本学術振興会の支援を受けて“ひらめき☆ときめきサイエンス〜ようこそ大学の研究室へ〜”「体験!ベリー研究の最前線“君も育種家になろう!”」を開催しました。これは,科学研究費補助金『若手研究(B):胚乳由来の3倍体育成法の確立とインプリント遺伝子の解析による胚乳分化機構の解明(研究代表者:星野洋一郎)』による成果をもとに,体験的なプログラムで大学の最先端の科学に触れてもらおうという企画です。本センター生物生産研究農場で行いました。
 中学生を対象に募集を行ったところ,20名の定員を上回る応募があり,開催の2週間前には締め切りとなってしまいました。当日は,28名の参加がありました。
 午前は実際にフィールドに出て,6種類以上のベリーに触れ,食べ比べを行いました。特に北海道特産のハスカップは生の果実が出回ることがほとんどないので,新鮮な果実のおいしさに驚いていたようです。よく知られているカシスやラズベリーについても,木から採って生のものを食べる機会はよい経験になったのではないでしょうか。ベリーはスグリ科,ツツジ科,バラ科,スイカズラ科など様々な植物が含まれること,食べ比べてみて分かる味の特徴など,実物を見て触れてそして味わう貴重な経験から学び得たことがあったと思います。
 その後,ブラックベリーとラズベリーを実際に交配させる品種改良に挑戦しました。雄しべから花粉を取り,雌しべの先に着ける作業を実際に行いました。花をじっくりと観察しないと雄しべと雌しべが区別できないのですが,集中力を発揮して楽しんで実験を進めることができたようです。この交配実験に使用した精密ピンセットは一人ひとりの名前をつけてプレゼントすることにしました。これからも大切に使って自由研究を進めてほしいと思います。この交配実験の結果は,1ヶ月ほど経った後に結実した果実を参加者に送り,実際にオリジナル品種を栽培してもらう計画です。
 午後からはグループ分けを行い,「生きた花粉が伸びる様子をとらえよう」,「果実の糖度,pHを調べてみよう」,「パラピン紙で交配袋を作ってみよう」というテーマの実験をローテーションで行いました。盛りだくさんの内容でしたが,積極的に実験に取り組む姿が見られました。研究の楽しさやおもしろさが伝わったでしょうか。この日のことが科学の芽となって育ってくれれば嬉しく思います。
 最後に記念撮影,クッキータイムでスタッフや新しく友達となった仲間同士で交流し,修了式で「未来博士号」を授与して解散となりました。生徒達の顔がより輝いているように見えました。
 なお,実験に関する質問や栽培の仕方,交配した果実の生育具合など,ブログ形式で交流を続けています(http://hoshiberry.exblog.jp/)。最後に,本事業の開催には準備段階から支えてくれた事務職員・技術職員の皆さんと研究室の学生メンバーの貢献が非常に大きかったことを記しておきたいと思います。参加してくれた皆さん,そしてスタッフのチームワークに感謝いたします。

圃場で様々なベリーの食べ比べを行いました ラズベリーとブラックベリーを交配しオリジナル品種作出に挑戦しています
圃場で様々なベリーの食べ比べを行いました ラズベリーとブラックベリーを交配し
オリジナル品種作出に挑戦しています
最新の顕微鏡を操作して花粉管が伸びる様子を観察しました ほかの花粉がかからないようにするため必要な交配袋作りを行いました
最新の顕微鏡を操作して花粉管が
伸びる様子を観察しました
ほかの花粉がかからないようにするために
必要な交配袋作りを行いました

(北方生物圏フィールド科学センター)


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