7月25日(月),薬学研究院臨床講義室において,北海道大学病院薬剤部と薬学部の合同セミナーを開催しました。
このセミナーは,3月11日(金)に起きた東日本大震災において北海道大学病院が,東北地方(岩手県・陸前高田市)に医療チームを派遣した際の報告会として,災害医療にどのように関わるべきかを考える機会として,職員,学生を対象に開催されました。
当日は,北海道大学医療チームの薬剤師メンバーとして実際に現地に派遣された立場から,北海道大学病院薬剤部副部長の山田武宏准教授,また薬学研究院臨床薬剤学研究室の小林正紀助教,同薬剤分子設計学研究室の山田勇磨助教の3名の先生に,また,北海道大学病院に残って現地の薬剤師・医療チームの活動をサポートした立場から,北海道大学病院の深井敏隆薬剤部副薬剤部長にそれぞれお話をいただきました。
最初に,「東日本大震災における薬剤師の支援活動 〜バックアップ体制〜」との演題にて深井薬剤部副薬剤部長よりお話をいただきました。北大医療チームが被災地への派遣に至るまでの経緯,北大病院に残って現地での医療活動をバックアップするために努められた内容について,詳しく話していただきました。地震により製薬工場が被災し,医薬品供給制限が発動となりましたが,そのような状況下で,医療チームならびに北大病院での医薬品在庫の確保に努められた点や,薬剤部内での業務分担体制の変更などの種々の対応についてお話をいただきました。
次いで,実際に現地に派遣され,医療救護活動を経験した薬剤師としての立場から,3名の先生にお話をいただきました。山田准教授からは,計10人派遣された薬剤師による被災地での活動の総括をしていただきました。特に,災害下の特殊な状況において,大学や実務実習で学んでいる通常の薬剤師業務とはどのような点が異なったのかなど,現地に行かなければ知り得ない事を中心に話していただきました。薬学研究院の教員として,また病院では診療補助従事者として薬剤師業務にも従事されている小林助教,山田助教のお二人は,後半時期に被災地に派遣されており,現地での医療活動に参加して感じたこと,また,北大医療チームから次の自治体医療チームを経て最終的に現地の医療体制へ引き継ぐ重要な時期に関わったこと,感じたことを中心にお話をしていただきました。
被災地での活動は,電気がない,パソコンが使えない,自動的にチェックしてくれるシステムがない,プリンタがないなど全て手書きで処方に関する情報が伝達される,といった特殊な状況であり,薬剤師としての職能が試される場でもありました。
本セミナー当日は薬学部の学生の参加者も多く,薬剤師を目指している彼らにとっては,貴重な機会となったと思われます。
 |
深井薬剤部副薬剤部長の講演を聴く 参加者 |
(北海道大学病院,薬学研究院・薬学部)
|