名誉教授 大塚喜弘氏は,平成23年8月26日胃癌のため77歳で御逝去されました。ここに生前のご功績を偲び,謹んで哀悼の意を表します。
先生は,昭和39年3月大阪大学工学研究科応用物理学専攻修士課程を修了され,同年5月大阪大学工学部助手に採用されました。その後,昭和43年11月に助教授として北海道大学工学部に赴任されました。昭和52年3月には教授に昇任されるとともに共通講座工業力学第一講座を担当され,さらに機構改革後は量子物理工学専攻波動量子物理工学講座を担当されました。平成10年3月には停年により退職され,同年4月に北海道大学名誉教授の称号を授与されました。
先生は,光物理学およびフォトニクスの基礎と応用に関する独創的な研究を推進され,250編以上の学術論文を発表されました。代表的な業績の一つは,超音波と光の相互作用を利用したレーザー光の空間コヒーレンス制御です。また,光ヘテロダイン干渉計測や光ファイバセンサに関して斬新なアイデアを次々と発表され,広範な応用の可能性を示されました。このような業績により,昭和63年に米国光学会(OSA)よりフェローの称号を授与されました。
学内では,工学部教務委員長を初めとする全学および工学部の多数の委員を務められ,教育および運営で多大な貢献をされました。学外では,応用物理学会理事を始め,多数の学協会の評議員,委員を歴任されるとともに,数々の国際会議の組織委員および実行委員を勤められ,国内外における学術の発展に尽力されました。特にレーザー学会東北・北海道支部の創設に中心的役割を果たされました。また,平成8年の第11回光ファイバセンサ国際会議を運営委員長兼実行委員長として陣頭指揮され,成功に導きました。
以上のように大塚先生は,教育研究の発展,後進の育成に多大な貢献をなされました。
ここに謹んで先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
(工学院・工学研究院・工学部)
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