訃報

名誉教授 上見 練太郎 (あげみ れんたろう) 氏 (享年74歳)

上見 練太郎 氏  名誉教授 上見練太郎氏は,平成24年1月8日ご逝去されました。
 上見先生は昭和12年8月27日に生まれ,昭和31年北海道大学に入学され理学部数学科にて数学の道を歩み始められました。卒業後,大学院を経て昭和43年理学部助手として北大に採用され,同49年に講師,同50年助教授,同59年教授となり,平成13年3月退職されました。この間2年間評議員を務められました。
 上見先生は北大卒業以来ずっと数学の研究教育の場で働かれました。教養部学生には数学の基礎科目を,理学部や大学院では偏微分方程式論や関数解析学などの解析学を教えられました。この中から企業や学界での指導者を多く輩出されております。
 先生の専門は偏微分方程式論で,若い頃は線形の双曲型方程式を研究し,初期値問題の解の適切性に関する条件を考えられました。後年は非線形波動方程式(系)の分野で解の大域的存在や爆発問題などに取り組まれました。停年に近い頃にされた非線形弾性方程式の初期値問題に関する仕事は学界に強い印象を与えました。また北大で毎年開催される偏微分方程式論札幌シンポジウムに関しても在職中ずっと組織委員会の中核を担いました。この研究会は1975年に始まり30年以上も続いています。そして我が国の偏微分方程式論研究の活性化や人材育成に大いに貢献しています。
 また学外においては日本数学会の函数方程式分科会の運営でも貢献されました。近年,上見先生の長年の努力が実を結び,北大出身の人々が多分野で頭角を現しつつあるところです。
 先生は後年よく“自分は北大というこんな良い環境で長く仕事ができて本当に幸せだった”とおっしゃっていました。充実した人生を生きられた上見先生を讃えたいと思います。そして長年のお仕事に感謝し心よりのご冥福をお祈り申し上げます。

(理学院・理学研究院・理学部)

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