訃報

名誉教授 川島 利兵衛 (かわしま りへい) 氏 (享年90歳)

川島 利兵衛 氏  名誉教授 川島利兵衛氏は,平成24年4月27日,享年90歳でご逝去されました。ここに生前のご功績を偲び,謹んで哀悼の意を表します。
 同氏は,大正10年7月10日静岡県に生まれ,昭和18年8月に神戸高等商船学校航海科を卒業され,同28年4月に北海道大学水産学部講師に採用,同32年3月に同大学水産学部助教授,同46年3月同大学水産学部教授に昇任されました。昭和60年3月に停年により北海道大学を退職,同年4月に北海道大学名誉教授の称号を授与されました。また,同60年4月から平成4年3月まで北海道薬科大学教授を務められました。
 同氏は,船舶運用学,特に漁船運用学の教育・研究において,本学における同分野の発展はもとより,我が国の海難防止についても多大な貢献をなされました。昭和38年には漁船動揺の遠隔監視の研究で日本航海学会賞,同60年には船体運動人体の応答に関する基礎研究で再び同賞(論文賞)を受賞されました。
 同氏は,研究遂行に当り,コンピューターの重要性を早くから認識し,大型計算機はもとより各種計算機の大学,学部への導入に尽力され,退職まで本学大型計算機センター及び同情報処理教育センターの運営委員を務めるとともに,学部の情報処理教育に尽力されました。学外においては,日本造船学会の各種委員をはじめ,日本航海学会においては昭和43年以降評議員,海洋工学研究部会長,昭和49年以降理事,昭和55年以降は副会長,社団法人北海道漁船海難防止センターの漁船海難防止対策委員会の委員長を歴任するとともに,日本海難防止協会における海難防止に関する調査研究事業に参画し,我が国の海難防止の基本的問題と対策立案に貢献されました。
 以上のように,同氏は研究者として優れた業績を挙げられ,学術の振興に貢献されたほか,教育者としても優秀な人材を数多く世に送り出され,我が国の高等教育と学術の発展に貢献されました。これらの功績により,平成8年秋の叙勲において勲三等旭日中綬章を授与されました。
 ここに謹んで先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

(水産科学院・水産科学研究院・水産学部)

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