6月4日(月),大学文書館では,諏訪 基氏より,ご尊父の諏訪 望博士(1912-1999)の旧蔵資料1箱をご寄贈いただきました。
諏訪 望博士は,1938(昭和13)年3月東京帝国大学医学部医学科を卒業しました。卒業後は副手として,北海道帝国大学から赴任直後の内村祐之教授のもとで,精神医学を専攻しました。軍医として国府台陸軍病院に配属された後,1947年4月医学博士の学位を取得,日本医科大学教授を経て,1949年4月北海道大学医学部精神病学講座に第四代教授として着任しました。1976年退官されるまで,医学部において精神医学の教育・研究・診療体制の整備に尽力しました。附属病院長(1963〜1965),医学部長(1967〜1969)等,大学運営の重責も担いました。
この度,受贈した資料は,(1)東大学生時代の受講ノート,(2)北大教授時代の講義原稿,(3)論文・学会講演・著書・教科書「最新精神医学」の草稿・原稿類,(4)最終講義の原稿・録音テープ,(5)著作物,(6)スクラップブック,(7)叙勲関係記事・通知類です。
(1)には,内村祐之教授の「精神病学臨床講義」3冊が含まれています。内村教授の講義について,諏訪 望博士は「3年生の2学期から1年間,内村祐之教授の臨床講義を聴講した。内村教授の講義は「麻痺性痴呆」から「司法精神医学」に到るまで,組織的で明快なもので,精神医学に対する興味と理解を深めることができた」(『精神医学とともに60年』21頁)と後年,回想しています。(2)はアメリカ精神医学の現況を視察した直後の1953〜56年頃に作成された「神経症」・「精神衛生」等の講義原稿です。
今後,大学文書館では,受贈資料を整理し,精神医学史・大学沿革史上の学術資料として保管・活用してまいります。