訃報

名誉教授 酒井  昭 (さかい あきら) 氏 (享年92歳)

酒井  昭 氏  名誉教授 酒井 昭氏は,平成24年10月5日に逝去されました。ここに生前のご功績を偲び,謹んで哀悼の意を表します。
 同氏は,昭和19年9月北海道帝国大学理学部動物学科を卒業,同24年6月北海道大学低温科学研究所文部教官に採用され,同35年2月同助教授を経て,同41年4月同教授に昇任されました。その間,昭和37年3月東北大学から理学博士の学位を授与されています。昭和58年4月,本学を停年退職後,同年4月,北海道大学名誉教授の称号を授与されました。
 研究面においては,植物の耐凍性に関する生理生化学的な基礎研究,超低温下での細胞生存の機構及び現地における凍霜害発生の実態調査と微気象要因の解析を進め,多大な成果を収められました。また,植物の地理的分布と耐凍性に関する研究から,植物の寒冷適応の進化論的考察へと進み,新しい学問体系を確立されました。これらの研究功績に対し,昭和42年度日本林学会林学賞,昭和55年度北海道新聞文化賞科学技術賞が授与されました。
 同氏は,停年退職後も,国際的な植物遺伝資源保存事業及びバイオテクノロジーの基礎技術として重要な植物培養細胞,生長組織,胚組織の液体窒素中での凍結保存法の基礎研究に尽力され,ガラス化法の開発に多大な貢献をされました。これらの優れた研究業績により平成15年度日本植物細胞分子生物学会技術賞が授与されました。
 学会活動においては,北海道林木育種協会理事,日本植物学会北海道支部長を歴任し,学会及び地域の科学技術の発展に寄与されました。
 このように,同氏は,低温生物学,植物細胞工学,植物生理学,植物生態学の基礎研究分野をはじめ,農学,林学,園芸学の応用研究分野にまたがる幅広い研究活動に尽力されるとともに,国内外の学術振興,人材の育成に多大な貢献をされました。これらの功績により,平成5年秋の叙勲において勲三等旭日中綬章を受章されました。
 ここに謹んで先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

(低温科学研究所)

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