第15回北海道大学−ソウル大学 ジョイントシンポジウムを開催
 全体会参加者全員での集合写真 |
12月6日(木)から8日(土)の3日間にわたり,第15回北海道大学-ソウル大学ジョイントシンポジウムを本学において開催しました。本学とソウル大学は,1997年に大学間交流協定を締結し,これを記念して1998年に第1回合同シンポジウムを札幌で開催して以来,毎年交互に当番校となって合同シンポジウムを開催しており,今年で15回目となります。
12月6日(木)に開催された全体会では,テーマを「Action for a Sustainable Campus」とし,本学 佐伯 浩総長及びソウル大学 Yeon-Cheon OH総長の挨拶に続き,本学工学研究院 長野克則教授,ソウル大学 Jong Won LIM名誉教授による基調講演が行われました。また,基調講演終了後には,本学の学生サークル“邦楽研究会”による演奏が行われました。
全体会に加え,シンポジウム期間中(一部のものを除く)には,様々な分野において,14に及ぶ分科会が開催され,それぞれの分野において,教員,研究者,学生等による研究発表や活発な意見交換が行われました。なかには,本学やソウル大学以外の機関から参加があった分科会もあり,より広い観点からの議論を行うことができました。
第15回目を迎えた本シンポジウムは,質・量ともに充実し,教員だけでなく,若手研究者や学生にとっても研究成果を発表するための貴重な機会となり,本学とソウル大学との交流促進の大きな原動力となりました。今後も本シンポジウム開催を通じて,韓国屈指の有力大学であるソウル大学との連携・協力関係を強化していきます。
 記念品を交換する佐伯総長(左)とOH総長(右) |
 佐伯総長による全体会挨拶 |
 工学研究院 長野教授による基調講演 |
 学生サークル「邦楽研究会」による演奏 |
(国際本部国際連携課)
分科会1
2nd Joint Symposium on Public Health and Sustainability
第2回パブリックヘルスとサステナビリティに関するシンポジウム/医学研究科 特任教授 玉城英彦
12月7日(金),医学部管理棟大会議室において,第2回目となる本分科会を開催しました。本分科会は,サステナビリティ・ウィーク2010における本学医学研究科とソウル大学公衆衛生大学院との交流をきっかけとして企画されたものです。
本学での開催となった今回は,ソウル大学からHo Kim公衆衛生大学院副研究科長をはじめ教員2名と大学院生3名が来札し,前半を両大学の教員によるセッション,後半を大学院生やポスドクなど若手のセッションという2部構成としました。環境保健から国際保健,さらには情報可視化や携帯電話機器,モバイルネットワークなどの情報技術の活用など,多岐にわたるテーマについて約30名の参加者による活発な討論が行われました。この若手セッションを設けたことは,今後の持続的な交流を促進する意味でも効果的な試みであったと考えます。
分科会での活発な討論を通じ,双方の研究成果及び研究領域の相互理解が促進され,また協同の研究計画の議論も行われました。今後も,分科会の主テーマに掲げた両大学による公衆衛生の持続的な研究・教育の発展に寄与すべく,次回の分科会の開催をはじめとして,より持続的な交流をしていく予定です。
 参加者による集合写真 |
分科会2
Japan - Korea International Symposium in Ophthalmology
第7回日韓眼科シンポジウム/医学研究科 准教授 南場研一
11月19日(月)午後5時から,医学研究科中央研究棟3階セミナー室において,分科会「第7回日韓眼科シンポジウム」を開催しました。本学から教員8名,医員7名,大学院生6名が参加し,ソウル大学からHyeong Gon Yu教授,Chang Ki Yoon先生が参加されました。開会の挨拶の後,本学医学研究科 石田 晋教授による「黄斑上膜・黄斑円孔に対する硝子体手術後の網膜外層厚の増加」についての講演,また,ソウル大学 Yu教授による「高分圧酸素網膜症におけるプロテオソーム解析」に関する講演が行われました。その後は各10分の演題が本学から7題,ソウル大学から2題発表されましたが,興味深い演題が多く活発な議論がなされ,予定時間を1時間延長してシンポジウムが行われました。同じアジアで臨床研究・基礎研究に真摯に取り組んでいる姿勢に若い日本の眼科医も良い刺激を受けたことと思います。
シンポジウム後の懇親会では,双方の眼科医療事情や生活習慣の違いなど楽しく議論し親睦を深めることができました。また,翌20日(火)には,ぶどう膜炎の難治症例について症例検討会を行い,本学から3症例,ソウル大学から2症例の呈示がなされ,こちらも活発な討論を行うことができました。
来年はソウルにて第8回日韓眼科シンポジウムを行う予定です。
 分科会参加者による集合写真 |
分科会3
The leading edge of veterinary clinical sciences
臨床獣医学研究の最前線/獣医学研究科 教授 滝口満喜,教授 奥村正裕
12月7日(金)午前9時30分から,獣医学研究科講義棟講堂において,獣医学研究科の分科会を開催しました。本学 伊藤茂男獣医学研究科長とソウル大学 Pand Dong Ryu学部長の開催の言葉に続き,ソウル大学 Inhyung Lee准教授より同大学が教育基盤を整備し,アメリカ獣医学会の承認を得るという試みについて紹介がありました。
今回は各大学から4名ずつの教員8名が発表を行い,臨床獣医学の分野から画像診断,臨床応用を目指した基礎的な実験などについての報告があり,非常に活発な議論がなされました。本分科会には全体で41名の参加者があり,2大学における臨床獣医学の先端を担う教員の研究成果に耳を傾けていました。
今回,大学院生の招聘を行わなかったため学生に発表してもらう機会が少なく,今後このような機会を国際学会発表の基礎とするべく大学院生の参加も積極的に促すべきと思われましたが,質疑には学生から積極的に発言がありました。懇親会では,本学 滝口満喜動物病院長より新病院のコンセプトが報告され,またこれを題材に情報交換がなされました。
来年度以降は,引き続きトピックを変えながら取り組んでいく予定です。
 伊藤研究科長の挨拶 |
 分科会の様子 |
分科会4
New Frontiers in Convergence Science and Technology
第3回 総合情報科学技術の最前線/情報科学研究科 教授 原口 誠
本分科会は,昨年度ソウル市で開催された第2回コンバージェンス科学技術フロンティアに関する合同シンポジウムを受け,本年度も継続して開催したものです。参加者は,本学情報科学研究科から14名(非常勤講師2名,学生1名を含む),ソウル大学から11名(学生3名を含む)であり,12月7日(金)に工学研究院アカデミックラウンジA3及び情報科学研究科ミーティングルームで実施しました。
情報科学及びコンバージェンス科学技術が対象とする分野は多岐にわたることから,分科会もIT及びナノ・バイオ・デバイスに関するパラレルセッション構成として,これを午後の時間帯に組み込みました。一方,これらの領域に依存しないテーマとして,プロジェクトマネージメント教育に関する特別セッションを午前の時間帯に開催しました。特別セッションでは,ソウル大学のHyun-Soo Lee教授から,同大で実施中のグローバルなエンジニアリングプロジェクトマネージャー(PM)育成のための教育プログラムについて講演があり,また,本学情報科学研究科の大学院特論講義を担当している濱 久人講師から,PM教育の現状について報告がありました。午後のセッションでは,多くの参加者は初対面であったにも関わらず活発な討議がなされ,今後の交流深化に向けてカウンターパートを見出すことができたのは大きな成果でした。
本研究科もソウル大学コンバージェンス科学技術研究科も多様な分野を抱えており,潜在的な交流の可能性はさらに高まると思われ,次回のシンポジウムが期待されます。
 参加者の記念写真 |
分科会5
Future and Risk of Our Environment
環境シンポジウム「環境の未来とリスク」/地球環境科学研究院長 嶋津克明
12月7日(金),地球環境科学研究院D201室において,本分科会を開催しました。
分科会は,まず本学の嶋津克明地球環境科学研究院長による歓迎の挨拶で始まり,その後,ソウル大学の Kyung-Ryul Kim教授には「Current status of greenhouse gas monitoring at Gosan, Jeju Island(済州島ゴサンでの温室効果ガスモニタリングの現状)」という題目で,Guebuem Kim教授には「Overview of recent studies on submarine groundwater discharge in the coastal ocean(沿岸域海底からの地下水湧出に関する最近の研究概説)」という題目で基調講演を行っていただきました。
これらの講演に加え,本学環境科学院とソウル大学地球環境科学科の研究生・大学院生が,環境に関する様々な研究について発表しました。本学から5名が,ソウル大学からは4名が口頭発表し,大気圏,陸圏,海洋の化学物質の動態や環境問題解決のための技術開発から,更には社会科学的な内容まで,発表内容は広範囲にわたりました。特に本学環境科学院のOBで,現在ソウル大学の博士研究員として活躍中のChungwan Lim博士は,熱の入った講演をしてくれました。各自の発表に対して,双方の教員が教育的な見地から質問やコメントをしましたが,分科会の後で学生に聞くと貴重な体験になったようです。大学院生の発表に対する質疑応答に時間制限を加えなかったこともあり,プログラムで予定していた時間を大幅に超える分科会となりました。
今回はソウル大学から6名の参加となりましたが,本学側からは教員・博士研究員・大学院生が多数出席しました。最後に来年度分科会の見通しなどについてKyung-Ryul Kim先生と本学地球環境科学研究院 吉川久幸教授が話をし,分科会を終了しました。
 両大学職員と発表者の集合写真 |
 分科会の様子 |
分科会6
Biomolecular Approach for the Understanding of Biochemical Processes
化学的過程の解明に向けての生体分子論的アプローチ/理学研究院 教授 石森浩一郎
平成24年度総長室事業推進経費の国際研究集会等開催支援による国際シンポジウム「Challenges in Advanced Chemistry of Asia」の一部として本分科会を,12月6日(木)・7日(金)に,国内外の100名以上の参加者を集めて学術交流会館講堂で開催しました。ソウル大学からは教員4名,大学院生4名が参加し,教員はシンポジウムにおいて基調講演と招待講演を行い,神経における刺激伝達の化学的解析,生体試料の微量分析,生体関連物質検出のための新規化学センサー,浸透圧を用いた新規脱塩法の開発など,生化学的に興味深い化学反応過程に関する最新の成果を発表しました。
本学の研究者もこれらの研究テーマに関連する研究成果を発表し,しばしば制限時間を超えての熱心な質疑・応答が交わされるなか,今後の相互訪問や共同研究の提案も出され,双方に取って実り多いシンポジウムとなりました。
さらに,8日(土)に札幌の定山渓で行われたポストシンポジウムでは,ソウル地方の悪天候のため札幌到着が遅れた大学院生4名が,日本や中国の若手研究者や大学院生19名とともに口頭発表を行い,ソウル大学のIn Hye SungさんがBest Presentation賞に選ばれました。その後の懇親会では,会場のあちこちで日中韓の大学院生が英語で生き生きと歓談する光景が見られ,Scienceでのつながりだけではなく,多くの個人レベルでの交流も生まれました。
 基調講演,招待講演,ポスター発表者の記念写真 |
 Best Poster賞とBest Presentation賞の受賞者 |
分科会7
Recent Developments of Geometry and Topology
幾何とトポロジーの関連分野における最近の進展/理学研究院 准教授 松下大介
ソウル大学から6名の研究者を招き,幾何とトポロジーを主題として,12月7日(金)に理学研究院3-309教室で本分科会を行いました。
扱われた話題は代数構造のなす圏,特異点を持つ多様体の特性類,剛性問題,多重イデアル,関数体上のFord 円,Farey 写像,Chern-Simons理論と3次元多様体の不変量,ミラー対称性,統計多様体など多岐にわたりました。1日という限られた時間であったため,45分間の講演を8コマといういささか厳しいスケジュールとなりましたが,本学とソウル大学,双方の幾何関係の研究者の仕事を互いに知る良い機会になったと思います。また,普段一緒に仕事をしているが,研究上の交流が少ない同僚の研究内容を知る良い機会でもありました。
昼食会及び懇親会では今後のことについて話し合いました。次回開催時には代数を主題としてやってみてはどうか,今回は時間の制約により教員の発表のみとなってしまったが,次回は学生に発表させる機会を設けたいなどの意見が出て,この形での双方の数学教室の交流をこれからも続けていくことが確認されました。
 分科会の様子 |
分科会8
Frontier of Nucleic Acids Medicine based on Nanobioscience
ナノバイオが先導する核酸医薬の新展開/薬学研究院 教授 原島秀吉
12月7日(金),薬学研究院S105室において,本分科会を開催しました。
本分科会は,ソウル大学薬学部のYu-Kyoung Oh教授の提案により,2010年の第13回ジョイントシンポジウムの際にスタートし,今回で3回目を迎えました。
両校の教員・学生を併せて40名以上が参加する大盛況の会となり,終日にわたって活発な討論が展開され,最終的には終了予定を約1時間延長しての閉会となりました。特に今回は,博士研究員や大学院生など若手研究者の参加が増えたこともあり,新しい試みとして若手研究者優秀発表賞を企画し,9名の博士研究員・大学院生が英語による口頭発表及び討論を互いに競い合う場を設けました。また,教員だけでなく大学院生・学部生を含む全ての聴衆による投票によって受賞者を選出するという総選挙方式での選考としたことで,聴衆として参加した学生も他者の発表を詳細に分析し,自身の研究成果やアイデアをわかりやすく聴衆に伝えるにはどのようにすれば良いかを積極的に学び取ろうとする姿勢が垣間見られました。閉会後,ソウル大学薬学部のOh教授及びYoungro Byun教授からもこの試みに対してご高評いただき,本分科会を成功裡に終えることができたと考えています。
今後もこのような国際的友好関係を継続的に発展させるとともに,両校の若手研究者・大学院生が互いに刺激し合うことで切磋琢磨する「協調と競争の関係」を構築できるよう努めたいと考えています。
 優秀発表賞の記念写真 (左から,Byun教授,Oh教授,林 泰弘特任助教, Seung Woo Chung氏,原島秀吉教授, 梶本和昭特任准教授) |
 分科会での集合写真 |
分科会9
Food Safety
食の安全/農学研究院 教授 小林泰男
12月6日(木),農学研究院W109室において,「食の安全」をテーマに本分科会を開催しました。ソウル大学からは農業生命科学部のJong K. HA教授を代表とする4名の教員が,本学側は農学研究院及び水産科学研究院の教員4名が,講演と司会進行を担当しました。本学から44名(うち教員9名)が聴衆として参加し,休憩をはさみ夕方まで活発な質疑応答がなされました。
この分科会では食の安全を,病原性発現などの分子レベルで扱う基礎科学,及び政治経済レベルから検討する社会科学の両面から取り上げ,幅広い聴衆を集め議論することを目標としました。今回は東日本大震災後の農作物や農地の放射能汚染(日本),また口蹄疫発生後の畜産業(韓国)など,私たちが直面する課題のほかに,抗生物質耐性遺伝子,食中毒菌の迅速検出,食中毒菌の病原性発現機構などを扱う講演を提供しました。質疑では本学の学生からも質問が出るなど,総じて議論は活発で,提供課題に理解が深まったのはもちろんのこと,両大学の研究者のネットワーク形成にも少なからず役立ったものと思います。
午前に実施したクローズドの会議では,次回の開催をソウル大学側から言明され,これまで実施してきた授業交換に代表される教育連携に加え,共同研究の発端ともなれる分科会に育ちつつあると感じました。
 農学部看板前にて |
 講演中のソウル大学 Sangyeol Ryu教授 |
分科会10
Professional Development of Science Teachers in Asia: Focusing on Argumentation and ICT
アジアにおける理科教員のプロフェッショナル・デベロップメント:アーギュメンテーションとICTに着目して/教育学研究院 教授 大野栄三
12月17日(月)・18日(火),教育学部大会議室で本分科会を開催し,本学から3名,ソウル大学から9名,他大学から3名の参加者がありました。ソウル大学と本学のほかに,東京学芸大学,台湾師範大学,ミシガン大学からも参加者が集まり,10件の研究発表と活発な討論が行われました。
17日(月)午後4時からのフォーラムでは,この1年間の共同研究の成果(韓国と日本での調査,7月の国際会議でのシンポジウム発表など)を総括し,現在の研究動向や研究課題についてブレインストーミングしました。翌18日(火)の分科会では,アーギュメンテーション(議論)とモデル化,授業研究,教師教育でのICT活用,根拠に基づくカリキュラム開発,博物館の利用,科学コミュニケーションについての発表があり,多くの知見を得ることができました。
最後に,今後の共同研究について話し合う時間を設定し,来年度にソウル大学で開催されるジョイントシンポジウム分科会に向けて,いろいろな可能性を検討しました。
 ソウル大学 Chan-Jong Kim教授(右)と 本学教育学研究院 大野栄三教授(左) |
 昼食後に撮影した集合写真 |
分科会11
8th HU-SNU Symposium on Mechanical and Aerospace Engineering
第8回機械工学と航空工学に関するシンポジウム/工学研究院 教授 小林幸徳
 口頭発表の様子 |
 ポスターセッションの様子 |
本分科会は2005年にソウル大学航空宇宙工学科のW. I. Lee教授と本学工学研究院人間機械システムデザイン専攻の成田吉弘教授の企画によりスタートし,本年で8年目となります。年度当初より開催時期について協議し,今年度は気候のよい8月末,19日(日)〜21日(火)に工学研究院アカデミックラウンジ及びA1-70室で開催することとしました。
今回は流体工学,燃焼工学,ロボット工学,振動工学,バイオメカニクスといった専門的テーマに加えて,基調講演として東日本大震災に関する話題なども紹介されました。夏の開催ということもあり,クールビズのリラックスした服装でのシンポジウムとし,フレンドリーな中にも活発な意見交換となりました。
シンポジウムでは,本学 馬場直志工学研究院長の挨拶の後,ソウル大学から教員5名と学生5名,本学から教員11名と学生17名が研究発表を行いました。今回は学生セッションをポスターセッションとすることによって,本学大学院生から多数の参加がありました。学生は,ポスターセッションに先立ち,1人につき数分の口頭による研究概要説明も行いました。ポスターセッションは大変に盛況となり,学生間のみならず教員も含めて非常に良い交流の場となりました。
分科会12
The HU-SNU Joint Symposium on Materials Science and Engineering
材料科学に関する合同シンポジウム/工学研究院 准教授 橋本直幸
12月6日(木)・7日(金)の2日間,遠友学舎において,本分科会を開催しました。この分科会はソウル大学工科大学材料工学科と本学工学研究院材料科学専攻により,本年度から新しく企画された合同シンポジウムであり,Youngwoon Kim教授のご協力の下に行われました。
ソウル大学・本学双方から計15名の教授・准教授に本学の大学院生及び学部生を加えて,計40名程度の参加者数となり,12名の先生から材料科学に関する様々な分野の講演をいただきました。多岐にわたる発表内容でしたが,それぞれが最先端で非常に興味深いものであり,専門の範囲を超えた有意義な討論ができたと思います。さらに,このような意見交換の場が自身の研究に役立つ大きなヒントを得る絶好の機会であることを,各参加者が再認識できたシンポジウムでもありました。
講演会の最後にはKim教授から閉会の辞をいただき,本シンポジウムの成功と意義について総括するとともに,次年度のソウル大学における第2回合同シンポジウムの開催を確認し,今後のさらなる緊密かつ強固な関係の構築が期待されるものとなりました。
 講演の様子(ソウル大学 Ki Tae Nam准教授) |
分科会13
Political Situation in Post-Soviet Countries
旧ソ連諸国の政治状況/スラブ研究センター長 宇山智彦
12月8日(土)午後1時から同4時45分まで,スラブ研究センター(SRC)とロシア・東欧・ユーラシア研究所(IREEES)との合同分科会をスラブ研究センター会議室で行いました。総合テーマは「旧ソ連諸国の政治状況」です。
はじめに両組織の代表である本学 宇山智彦スラブ研究センター長とソウル大学 Kyung Hoon Leem社会科学カレッジ教授によるオープニングスピーチがあり,このような共同研究会の形で両組織の研究協力を継続することの深い意味が確認されました。
研究発表は2部構成で行いました。第1部ではソウル大学 Jaewon Chung講師による「ネオリベラル・グローバリゼーション時代の権威主義体制下のロシア市民社会」,及び本学スラブ研究センター 松里公孝教授による「文脈化された暴力:ダゲスタンにおけるいわゆる対テロ戦争をめぐる政治」が発表され,それぞれの地域における政治状況と,その基底にある社会構造の現状が議論されました。第2部は国際関係に話題が絞られ,ソウル大学政治・国際関係学部の大学院生 Sarang Jeong氏による「プーチン大統領治下のロシアの対米政策:中央アジアにおける米軍駐留問題」,本学文学研究科大学院生のアセリ・ビタバーロヴァ氏による「タジキスタンのロシア観:2000年代初期以降の両国関係をめぐる議論」の2報告が行われました。
当日はスラブ研究センター滞在外国人研究者や大学院生を含む23名(うち外国人6名)が参加し,活発な議論が交わされました。
 分科会の様子 |
 会場前での集合写真 |
分科会14
Development in curriculum policy and outcome evaluation
教育目標とアウトカム評価の発展/高等教育推進機構 教授 細川敏幸
12月7日(金)午前10時から,情報教育館4階の共用多目的教室(1)において,本分科会を開催しました。ソウル大学CTL(Center for Teaching & Learning)とのシンポジウムは今回で4回目になります。本学から7名,ソウル大学から4名の参加者がありました。
本学からは,(1)北海道大学と日本におけるカリキュラムポリシーの現状(高等教育推進機構 山岸みどり特任教授)と,(2)IRを利用したアウトカム評価(同機構 竹山幸作特任准教授)について報告しました。
ソウル大学からは,(1)ソウル大学での学生アンケート(2008-2011)の分析:工学部の場合(Hyeree Min准教授),(2)ソウル大学学部学生の学習過程と成果の分析:カリキュラム改革のために(Heewon Lee助教),(3)ソウル大学での学習支援プログラムの改革(Eunmee Park研究員),(4)ソウル大学における英語による授業の授業評価(2008-2011)の分析(Jinho Kim研究員)が報告されました。
韓国ではトップダウンで32大学が協力したIRシステム(共通アンケートによる学生調査)が2008年から実施されており,4大学で試験的に開始した日本の試みの先を進んでいることがわかりました。また,学部教育の1割を英語で実施しており,その授業評価が他の科目よりも高いことが示されています。
今回のシンポジウムのテーマでは,ソウル大学の教育改革が本学のそれを越えており,変化の遅い日本の大学教育改革が再確認されました。
来年も,さらに充実したシンポジウムを企画運営する予定です。
 発表するソウル大学 Park博士 |