名誉教授 犬山 征夫 (いぬやま ゆきお) 氏 (享年75歳)
![]() |
名誉教授 犬山征夫氏は,平成25年2月19日にご逝去されました。ここに生前のご功績を偲び,謹んで哀悼の意を表します。 先生は,昭和12年11月8日横浜市に生まれ,同37年3月に慶應義塾大学医学部を卒業された後,同42年9月に同大学院医学研究科博士課程を修了,医学博士を授与されました。昭和42年4月慶應義塾大学医学部助手となり,同42年7月から同43年6月までフランス政府給費技術留学生としてフランス・リヨン大学に留学し,頭頸部外科学の臨床研究に従事されました。その後,同大学医学部助手,講師を経て,昭和63年12月北海道大学医学部教授に任命され,耳鼻咽喉科学講座を担当されました。平成13年3月本学を定年退官後,北海道大学名誉教授の称号を授与されました。 研究・診療面においては,頭頸部癌において実地臨床上必要不可欠でありながら明確にされていなかった頭頸部癌治療効果判定基準や薬物有害反応とその対策などに積極的に取り組み,これらの作成,改訂に多大な貢献をされました。また,我が国で頭頸部癌治療に化学療法を導入したパイオニアであり,“集学的治療”という概念を普及させ,日本の頭頸部癌治療を大きく進歩させました。先生はこれらの業績から「頭頸部癌に対する生存率の改善と臓器・機能の温存を指向した集学的治療の研究」により,北海道医師会賞・北海道知事賞(平成10年)を受賞されました。 学内にあっては,医学部学生等の教育指導に広く携わり,また在任中に多数の博士号取得者を輩出されました。 学外にあっては,日本頭頸部腫瘍学会理事長,日本耳鼻咽喉科学会副理事長ほか,多数の学会理事を務め,学会の発展と地域医療のために多大な貢献をなし,昭和63年には日本医師会優功賞を受賞されました。 また,頭頸部手術手技研究会・日本頭頸部腫瘍学会(平成6年),日本耳鼻咽喉科学会総会(平成10年),日本台湾耳鼻咽喉科頭頸部外科学会議(平成11年)などの会長として責務を果たされました。 以上のように,先生は長年にわたり,耳鼻咽喉科・頭頸部外科学に関して,幅広い研究活動に尽力されるとともに,国内外の学術振興,人材育成に多大な貢献をされました。 ここに謹んで先生のご冥福を心よりお祈り申しあげます。 |