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北海道大学イノベーション・フォーラム in Tokyo
「いまこそ “家・めし”−ちょっと未来の健康生活−」を開催

 8月6日(火),創成研究機構URAステーション主催でイノベーション・フォーラムin Tokyo「いまこそ“家・めし”−ちょっと未来の健康生活−」を開催しました。当日は,ジャーナリストの佐々木俊尚氏と北海道大学のコラボレーションを楽しみに,メディア関係者を含む140名の参加者がコクヨホール(東京都)に集まりました。
 本学では,本年度,フード&メディカルイノベーション国際拠点の設置が決まり,自宅で美味しいものを食べ元気に暮らすという当たり前で難しい生活を,真剣に研究しようという試みが始まります。本フォーラムでは,この試みが,大学や企業の研究開発に閉ざされたものではなく,現実の社会問題にどう結びつけるかを考えることを目的としており,佐々木氏の奥様であるイラストレーターの松尾たいこ氏,料理研究家の土屋 敦氏,本学医学研究科の玉腰暁子教授,経済学研究科の橋本 努教授も参加し,家庭と食生活について,熱い議論が行われました。
 開会にあたっては,「北海道・日本発フード&メディカルイノベーションの創出に向けて−産業界からの期待」と題し,北海道経済連合会会長の近藤龍夫氏より挨拶がありました。近藤氏は,「食」の持つ健康増進機能を科学的に解明・実証し,その機能を生かした食生活を営む,そんな社会を作りたいとの考えを述べ,北海道の食のポテンシャル,北海道での取組を紹介されました。
 ゲストトークでは,ジャーナリストの佐々木氏からお話がありました。佐々木氏は新聞記者時代には警視庁捜査一課担当で,独立してからはITが社会をどう変えていくかなど,鋭く社会を切り取ってきた敏腕ジャーナリストです。新聞記者時代の激務により体を激しく痛めてから,食べるものに気を使い,日々の食事は自分で考えて用意するようになったことを写真を交えて紹介されました。また,昭和の食生活が実はとても簡素で貧しかったこと,バブル経済の功績として,様々な食材が食卓にのぼるようになったことなど,人々が経験しながらも認識してこなかった視点を提供しました。佐々木氏は,日頃からITやメディアの取材・執筆活動だけでなく,様々な話題に造詣が深い方ですが,食について講演するのは今回が初めてで,フォーラムの参加者やツイッターのフォロワーからは,「フード・ジャーナリストとして新しい境地を開いた」との指摘もありました。
 続いて玉腰教授は,ある地域のある集団について長期に継続して健康状況を把握していくコホート研究の専門家として情報提供がありました。生活の仕方が健康に与える影響を実際のデータに基づき紹介し,その中で,孤独と健康の関係など,健康に影響を与える社会的な要因や遺伝的な体質を含めて病気をみていくことが必要だとの考えを述べました。
 この後,講演者2名に加え,松尾氏,土屋氏,橋本教授が登壇し,URAステーションの難波美帆特任准教授が司会進行を務め,「ちょっと未来の健康生活」についてパネルディスカッションが行われました。橋本教授から佐々木氏の講演で話題にあがった「健康格差」について,問題提起がなされ,料理研究家の土屋氏からは「情報の過多」や「都会・田舎の差」が影響しているのではないかとの指摘がありました。土屋氏の「食自体がエンターテインメントになってしまって,皆,刺激の強いものを求めている」「経済行為の中で,食というのは,どうしても刺激の強い方に行く」という言葉からは,料理についてマスメディアに情報を売る,記者としての視点がうかがわれました。また,松尾氏からは自身の健康状態と食の関連について経験談がありました。刺激の強いものは身体に良くないということについて,断食の経験で知ったと実感のこもった話題提供がありました。後半,会場とのディスカッションでは,佐々木氏の講演で触れられた「現代の野菜中心の生活は収入の問題ではなく,価値観や情報収集のあり方などの生き方に関わり,新しい健康格差を生む可能性がある」という発言について質問があり,佐々木氏から「スローフード格差」という新しい概念が提供されました。
 ジャーナリスト,イラストレーター,料理研究家など多彩なパネラーを招き,本学の研究者と議論するという新しい試みに,会場からも多くの発言があり,本学としても新しい境地を開くフォーラムとなりました。

 

URAステーションは,昨年10月に本学に誕生した新しい組織で,全学の研究戦略の立案,外部への発信,研究支援などを担当する部署です。現在8人の専門スタッフが所属しています。

本学からは玉腰教授と橋本教授の二人が登壇

本学からは玉腰教授と橋本教授の二人が登壇

お二人での登壇は初めてという佐々木氏と松尾氏ご夫妻

お二人での登壇は初めてという佐々木氏と松尾氏
ご夫妻

司会の難波特任教授と料理研究家の土屋氏は株式会社講談社で同僚だったことがある

司会の難波特任教授と料理研究家の土屋氏は
株式会社講談社で同僚だったことがある

(創成研究機構)

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