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逢坂信旧蔵資料を大学文書館で受贈

 7月21日(日),大学文書館では,逢坂信(1882-1981)旧蔵資料を,ご令孫の宮崎康宏氏よりご寄贈いただきました。
 逢坂信は,1882(明治15)年新潟県に生まれ,1900年札幌農学校予修科に入学し,同校本科を経て,1909年東北帝国大学農科大学を卒業しました。卒業後は,キリスト教伝道を使命とし,牧師・文筆家としてその生涯を捧げました。『クラーク先生詳伝』(1956年),『黒田清隆とホーレス・ケプロン』(1862年)など札幌農学校ゆかりの人物や,在学時代に感化を受けた詩人(ミルトン,ホットマン)・思想家(カーライル)について多く著述しています。
 この度,受贈した資料は,(1)著作物,(2)著作原稿,(3)写真・写真パネル,(4)墨蹟,(5)旧蔵書など81点です。墨蹟は,「札幌バンド」の佐藤昌介,「熊本バンド」の海老名弾正・小崎弘道といった,近代日本におけるキリスト教史に名を連ねる人物が揮毫したものです。
 佐藤昌介(札幌農学校第1期生・北大初代総長)の墨蹟は,新約聖書ロマ書第12章第20節「もし汝の仇飢えなば之に食はせ,渇かば之に飲ませよ,なんぢ斯するは熱き火を彼の頭に積むなり」及び第12章第21節「悪に勝たるることなく,善をもて悪に勝て」(逢坂信旧蔵書『改訳新約聖書』米国聖書会社・1919年刊行を参照)という聖書の内容を,以下のように,漢詩調にあらわしたものです。
 [関防印]菁者莪
 則飼之渇則飲之猶以炭集
 厥首勿使悪勝善宜以善勝悪
 丙寅夏日為逢坂遠兄之嘱録羅馬書第十二章廿節已下之聖句 琢堂農人
 [白文印]佐藤昌介
 大学文書館では,寄贈いただいた墨蹟は,順次,装幀を施すようにしています。今回受贈した海老名・佐藤の墨蹟は,9月末頃に軸装が完了する予定です。受贈した資料は大切に保管し,資料見学会などで活用していきます。

逢坂信肖像

佐藤昌介墨蹟(1926年)

佐藤昌介墨蹟(1926年)

逢坂信著作物と直筆原稿

(大学文書館)

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