大学文書館では,11月1日(金)に奥村信一旧蔵資料22点を,ご子息の奥村繁樹氏・奥村昌聰氏よりご寄贈いただきました。
奥村信一(1901-1961年)は,1926(大正15)年北海道帝国大学予科工類を修了後,農学部に進学して1929(昭和4)年林学科を卒業しました。朝鮮の大邱公立農林学校に勤務した後,母校に戻って1941年工学部に入学し,1943年9月鉱山工学科を卒業しました。立命館大学専門学部工学科採鉱冶金科で教授を務めた後,郷里の新潟県に戻り,新潟県立長岡中学校,新潟第一師範学校,新潟大学教育学部で教鞭を執りました。
このたび受贈した資料は,予科・農学部・工学部時代の受講ノート12冊,北大・農林学校時代の写真4点,証書類(写)4点などです。
受講ノートには,(1)予科での講義「化学,物理学,図画,代数学,平面三角学,解析幾何学,高等数学」,(2)農学部林学科での講義「森林植物学,植物生態学,気象学,森林昆虫学,応用鳥学,畜産学,経済学原論,財政学,測樹学,林価値算法及林業較利学,森林経理学,造林学,森林美学,林政学,森林管理学,樹病学及木材腐蝕論,森林法律学,森林利用学,林産製造学,熱帯林学,林木生長学,森林工学,森林土木工学」,(3)工学部鉱山工学科での講義「團鉱学及練炭学,冶金学」があります。
予科・農学部時代の受講ノート11冊は,数科目の大学ノートを合冊して製本したもので,奥村信一が終生大切にしていたノートであることが伝わってきます。また,講義で配布されたプリント(気象観測表・機関車図・紙製造工程図解・地図など)がきちんと貼付され,当時の講義がどのような内容・方法で行われていたのかがわかります。とりわけ,松村松年教授講義「森林昆虫学」のノートには,奥村信一直筆の昆虫図(水彩画)が所狭しと糊付けされており,彩り豊かな図鑑のように仕上がっています。
大学文書館では,受贈資料を大切に保存すると共に,展示・資料見学会などで活用していきます。