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スラブ・ユーラシア研究センターのグローバルCOEプログラム
「境界研究の拠点形成:スラブ・ユーラシアと世界」が最高評価

 3月20日(金),グローバルCOEプログラム平成21年度採択拠点の事後評価が公表されました。全9拠点のうち5拠点が「設定された目的は十分に達成された」との最上位評価でしたが,スラブ研究センター(当時)が中核となり,本学の人文社会系全部局及び総合博物館を糾合した「境界研究(ボーダースタディーズ)の拠点形成」は,問題点の指摘がない高い評価を得ました。平成21年度は「学際,複合,新領域」のみの公募で,本プログラムは145件の中から採択された唯一の人文・社会系のものでした。中間評価においては,理系の他プログラムとの比較の中で苦闘し,下位3拠点に分類され,研究成果が高く評価される一方で,人材育成面,特に若手研究者のキャリアパス作りの不足,全学をあげた支援体制の不備などに厳しい指摘がありました。
 その後,本プログラムは,十全の高い研究成果を若手の育成にどのように反映させるかの観点から,国境地域に面する自治体への若手研究者の派遣,国内外の境界研究の拠点や諸学会などとのネットワーク作りに力を注ぎ,実務と研究を繋ぐ形で人材の育成に成功しました。また,福岡・釜山での国際会議(Border Regions in Transition (BRIT)第12回大会)の誘致,総長裁量経費によるサマースクールの支援,英文雑誌Eurasia Border Review刊行に関わる継続的な支援など,本学の支援体制を整えた結果が,今回の評価に結びついたと言えます。
 サマースクールに参加した欧米,インド,中国等の若手研究者はいずれも自国の研究教育機関で中堅として活躍するとともに,次世代リーダーとして台頭しています。また本学を中心とする日本の若手研究者も国内外で活躍し,境界研究の拠点が各地ででき始めています。本年4月からは九州大学アジア太平洋未来センターにボーダースタディーズ・モジュールが設置され,本学の若手研究者が九州の地でこれを牽引しています。本学においては,スラブ・ユーラシア研究センターの境界研究ユニット(UBRJ)が引き続き,国内外の様々な研究・教育活動を牽引しています。
 スラブ・ユーラシア研究センターの境界研究ユニットは,グローバルCOEプログラムの成果を継承・拡大し,ボーダースタディーズを人文社会系の新しい学問領域として定着させる活動を続けています。昨年度からは,日本学術振興会で新設された実社会プログラムの支援で「国境観光を創る」プロジェクトを開始し,民間の力を結集しながら国境地域振興を主導する取り組みを行っています。その一部はグローバルCOEプログラムの総合博物館展示コーナーを継承しながら,成果発信を行いました。
 今回の評価に伴い,本プログラムを支援してくださった全学の関係者に心よりお礼申し上げます。本学の人文社会系の教育研究の目玉としてボーダースタディーズをより盛り上げていく所存です。これまで以上に力強いご支援をよろしくお願いします。
BRIT第14回大会プレナリー・セッションで発言する岩下明裕UBRJユニット代表(2014年11月 フランス・アルス)

BRIT第14回大会プレナリー・セッションで発言する
岩下明裕UBRJユニット代表
(2014年11月 フランス・アルス)

インド・バングラデシュ国境での岩下UBRJユニット代表(右から3人目)(2015年3月)

インド・バングラデシュ国境での岩下UBRJ
ユニット代表(右から3人目)(2015年3月)

(スラブ・ユーラシア研究センター)

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