教育学部では,「社会の持続可能な発展にとって教育のもつ役割は何か?」を主題とした双方向型短期留学支援事業であるESD(Education for Sustainable Development:持続可能な発展のための教育)キャンパスアジア・プログラムを韓国・高麗大学校とソウル国立大学校,中国・北京師範大学及びタイ・チュラロンコン大学と連携して,平成23年度から毎年度開催しています。
今年度のプログラムは8月19日〜28日の10日間にわたる北大プログラムにより開幕し,2月10日の参加学生による報告会をもって全日程を終了しました。報告会に先立ち,昨夏,学生たちがフィールドワークのため訪れた日高管内平取町から吉原秀喜氏(平取町役場アイヌ施策推進課アイヌ文化保全対策室室長/学芸員)と貝澤太一氏(平取町地域活性化協議会 調査員)が小内 透学部長を表敬訪問しました。
北大プログラムでは,韓国・高麗大学校のクウォン・デボン教授(教育学)をお招きした基調講演,フィールドワーク(平取町におけるアイヌ民族文化の体験交流),総合討論などを行いました。今年度からはフィールドワークにおいて海外から来た学生に英語でアイヌ民族文化について説明できるよう3日間の事前学習を開催し,アイヌ民族文化に対する更なる理解を深めました。北大プログラム終了後は北大生が4グループに分かれ,アジア連携4大学へ短期留学し,各々の大学の特色あるプログラムに参加しました。
本事業は海外の有力協定校と連携し,個別大学の枠組みを超えて連携大学における教員・学生の相互交流と教育的資産の共有化を実現するキャンパス環境の設営を目的としています。平成28年度は,新たにアメリカ・ハワイ大学モナ校,ロシア・サハリン国立大学が加わり,6大学の「ESDキャンパスアジア・パシフィック」として開催予定です。教室におけるESD学習ばかりではなく,日常生活の共有を通して達成される学生の国際的な人脈形成によって,世界的課題である持続可能で安心・安全な社会と平和な世界をどのように構築するかを将来にわたって考え続けていける次世代の力量形成が期待されます。