受章にあたって
口唇口蓋裂では生命を左右されることはまずないが,適切な手術が受けられなければ人間の尊厳が失墜させられ,言語コミュニケーションが損なわれたままの人生を強いられてしまう。活動当初は現地に治療できる医療者がおらず,生活に精一杯で手術を受けることもできず成人した人々がたくさんいらっしゃった。その人生がいかなるものか辛い現実を目前として身の丈の範囲で支援に協力させていただこうと思いが固まった次第であった。以来,職場やその有志の方々のご協力をいただき,患者さんやご家族の笑顔を糧に活動を毎年継続してきた。そして,いかに多くの現地の人たちの有形無形のご支援,ご協力があったことかと改めて痛感する。政府・行政の担当者,病院スタッフ,コーディネーター兼通訳さん,運転手さん,衣食住をお世話してくださる宿舎の従業員さん,早朝から深夜まで労を惜しまず尽くしてくれるベトナムの方々のお陰があるからこそである。深く感謝申し上げます。