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文学部同窓会,文学研究科が楡文賞受賞記念講演会を開催

 文学部同窓会では楡文賞を設け,社会的に高く評価される業績や活動を通じて,文学研究科・文学部の名誉を高めた者(応募時40歳以下)を顕彰しています。平成27年度は,松下隆志さん(日本学術振興会特別研究員PD)と,マイエル・イングリッドさん(博士後期課程言語文学専攻修了)の2名が受賞し,3月25日(金)に,人文・社会科学総合教育研究棟6番教室において「楡文賞受賞記念講演会」(主催:翻訳ワークショップ・シンポジウム企画委員会,後援:文学研究科・文学部同窓会)が開催されました。
 開会の挨拶では,副学長の望月恒子教授から楡文賞の選考経過と受賞理由が述べられました。松下さんは,ソローキンを中心とする現代ロシア文学の翻訳と研究,マイエルさんは,さっぽろ人形浄瑠璃芝居あしり座と現代演劇の海外公演,現代日本文学のハンガリー語への翻訳出版を通しての国際交流が評価されました。
 松下さんの講演「ウラジーミル・ソローキンの小説世界」では,ロシア文学を学ぶために大阪から本学に入学し図書館でドストエフスキーを読みふけったこと,ロシア文学を本格的に学ぶなかで現代ロシアを代表するポストモダン作家・ソローキン(1955-)の小説との出会いがあったこと,難解なロシア語表現を日本語に翻訳しながら,ソ連崩壊後の現代ロシア文学を展望するに至ったことなどが述べられました。現在,ソローキンの最新長編『テルリア』の翻訳を「早稲田文学」に連載中であり,4月からは京都大学文学研究科において現代ロシア文学研究を推進しています。
 マイエルさんの講演「現代演劇と人形浄瑠璃における国際交流」では,ハンガリーのエトヴェシュ・ロラーンド大学で日本語と日本の文学・文化を学び,本学に留学し日本古典文学の研究を進めるかたわら,様々な文化活動,現代日本文学の翻訳に関わることになったいきさつが述べられました。講演冒頭では,人形浄瑠璃芝居あしり座によって「東海道中膝栗毛 卵塔場の段」が演じられ,人形とは思えない表情の変化とコミカルかつダイナミックな所作に参会者は感嘆していました。
ことばが崩壊する様を文字で表現

ことばが崩壊する様を文字で表現

東海道中膝栗毛 卵塔場の段

東海道中膝栗毛 卵塔場の段

松下さん(左)とマイエルさん(右)

松下さん(左)とマイエルさん(右)

(文学研究科・文学部)

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